怒りを鎮める最強の一手となる一冊とは。

思わずカッとして、本を買うことがあります。そういうときの読書の時間と本は、気晴らしであり鎮静剤です。




私はかなりがんばって「ちゃんと」しているけれど、ほかの人は私ほどがんばらなくても「ちゃんと」できているんだと思います。そのため何かにつけ、他者に対して最低限私と同レベルのパフォーマンスを求めてしまうのが、悪い癖です。
さらに悪いことに、たまに私でもできるようなことで、ちゃんとしていない他者を見ると、さらにそのとばっちりを受けたりすると、まれに自分でもびっくりするような激しい怒りと嫌悪感が、私の中で瞬間的に爆発します。暴力的に表に出ることはほとんどないのですが、そういう相手に私だけにわかる最悪なレッテルを貼りつける瞬間は、とても醜い、残忍な顔をしていそうな気がします(?)。

先日、久しぶりにそういったことがありました。
短慮のとばっちりは携帯電話を通じてやってきました。こういうときはその相手からとりあえず離れなくてはならないので、「はいはい、了解」と言ってから相手の声を待たずにぶちっと切りました。
問題は2時間後にその相手と楽しく食事をしなくてはならない、ということです。おそらく、相手は今、私がこれほど大人気なく怒りを爆発させていることを予想できる思慮を持ち合わせていません。そう「今、たまたま」持ち合わせがないだけなんです。そんな相手に忠告しても無駄になるだけもったいない。ここからは自分との戦い。いかに怒りを静めて、いやなことを忘れるか。

電車に乗るまで、あと1時間。
いつもなら、どこかでコーヒーでも飲みながら本を読めばいいのですが、こんなときに限って課題図書しか持っていなくて、愕然としました。こういうとき、私の場合は、自分が気に入ってお金を出した本であることが重要です。

迷わず大型書店へ直行!いくつかの条件を挙げて、該当の本を買って、電車の中で読むことにしました。
・気に入った作家の
・まだ読んでいない作品で
・630円以下の文庫本で
・ドンズバだろうとなんだろうと確実におもしろい本!
自分が絶対気に入るだろうという本を探すのは、まさに自分との戦いです。

新刊コーナーでまず目についたのは、伊坂幸太郎「魔王」。外しはしないと思うけれど、即効性にかけるというか、いっそ食事をキャンセルして家に帰って読みこんでしまおうか、という誘惑に駆られてしまうので却下。
次はアーヴィング「サーカスの息子」。役は岸本佐知子さん(おおっ!)。しかし1冊900円の上下巻・・・家にある図書カードを思い出して却下。
あとは思いついた作家の名前で探すものの、どれも「家に買ってある」という点にひっかかってダメでした。

途中気晴らしに実用書コーナーで料理本をひやかしたりして、ここまでで40分ほど経過。
そのときひらめきました。こうなったら、ちくま文庫だ!ちくま文庫であの作家のどれかがあれば・・・。

ありました。買いました。
これでなんとなるかなと、各駅停車に乗って、空いた車内で読みはじめると、気づいたときは降りる駅のひとつ前。
選んだ本は大当たりでした。正直なところ、食事より読んでいたいいところではあったのですが、「ま、いいか」と思えるくらいに気分は持ち直していました。まったく、どうしてあんなことであんなに頭にいていたんだろう。ふん、ばかばかしい。

それにしても、われながらいい本を選んだと思いました。手堅い。

とんでもねえ野郎 (ちくま文庫)

杉浦 日向子 / 筑摩書房


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by takibi-library | 2008-12-10 23:44 | いつも読書 | Comments(0)  

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