「海の仙人」読了

まだ3冊目ですが、絲山さんの作品で「はずれ」と思ったことはありません。この前読んだ「袋小路の男」にしても、共感はできなかったけれど、今思い返すとおもしろい話だったなーと思えます。そして、今回読んだ「海の仙人」は、今まで読んだ中ではいちばんです。

主人公は、宝くじの一等が当たって35歳にして“余生”を過ごしている境遇や、ファンタジーと言う名前の神様みたいな人?が出てくることは、人によっては苦手かもしれませんが、私はむしろ気に入っています。仕事の合間にパソコンの画面からちょっと目をそらせて、「ひょっとしたら今日あたり自分のところにもファンタジーが現れるんじゃないか」などとぼんやり思うのはとても楽しいです。

主人公の男と、彼の前に現れた女性と、彼を追いかけてきた女性、そしてファンタジーが物語の主な登場人物です。それぞれの暮らし、仕事、孤独を持っています。
彼らは、他の友人なども交えて、孤独について語ります。孤独は誰の人生にもあるものですが、それが物語の真ん中に持ってこられても、暗くはならなくて、物語と自分の距離が近くなるような感じがします。

読んでいる間に自分を包む親密な空気がよかったです。きっとときどき読み返す一冊になると思います。

海の仙人 (新潮文庫)

絲山 秋子 / 新潮社


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by takibi-library | 2008-12-11 16:19 | いつも読書 | Comments(0)  

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