「偶然の祝福」読了

小川洋子さんの連絡短編です。これも、「~数式」前の作品。よかったです。

「私」の身の回りで起きる失踪や喪失についての物語です。
ちょっと不思議なことがあったり、怖いこともあったりいろいろです。でもどのはなしにも親しみがもてます。「私」が思い出したときに語られるように、時間が前後するところにも、近しさが感じられました。

全体的にはひんやりとしていて、ちょっと薄気味悪いような雰囲気が漂うのですが、大切なものが、息を殺してそっと扱わないと壊れてしまうのではないかと思われるほど、繊細に描かれています。
そして、大切なものが損なわれることはかなしい。そのまだ実現していないかなしみの気配が伝わってくるようで、切ない気持ちになりました。

ところで、この本の解説を川上弘美さんが書いているのですが、川上さんにとっての小川作品のベストは、短編がこの「偶然の祝福」、長編が「ホテル・アイリス」だそうです。
となると、次は「ホテル・アイリス」です。もちろん。

偶然の祝福 (角川文庫)

小川 洋子 / 角川書店


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by takibi-library | 2008-12-19 21:27 | いつも読書 | Comments(0)  

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