「アヒルと鴨のコインロッカー」読了

家族で那須へ行っていました。前の投稿の写真はそこで撮ったもの。
2泊3日、温泉につかって、ゆったりのんびりすごしてきました。日常生活での積雪は気が重かったり、心配事が増えたりして穏やかでないのですが、旅先で移動の心配がないかぎりは、眺めがよく、静けさも深まるようで好ましく思います。

今回出かけるにあたって、この本を持って行きました。家族といっしょにいると、なんだかんだで時間が過ぎてしまい案外本を読まずに終わることもあるので、1冊だけ。でも、これがおもしろくってどんどん読み進めてしまい、けっきょく帰りの新幹線で読むものがなくなってしまいました。

現在と2年前の物語が交互に描かれて、その2つの世界が次第に収束していくという展開は私の好きなスタイルです。

現在の主人公である椎名は大学に入ったばかり。新しい街、新しい友人。ただでさえとまどいに満ちているはずなのに、奇妙な隣人の頼みを聞くことになって、2年前の物語の終盤に巻き込まれていきます。椎名は遠慮がちというか、基本的に受身なので「巻き込まれていく」というのがほんとうにぴったりです。そのトホホなようすが時にコミカルに、軽快に描かれています。

一方、2年前の語り手である琴美に悪意が少しずつ近づいてくるようすは、ページを繰る手に力が入るほどの緊張感に満ちています。危険を承知で積極的に行動する、その衝動を抑えない琴美は椎名とは対照的です。

こんな、タイプの違う2人の物語の接点がしだいに明らかになっていく。つながった瞬間は、すがすがしさと、安堵が入り混じった感覚があります。それは、これまでに読んだ伊坂作品に通じるものです。
きっとこの読後感が好きで、またそのうちに伊坂さんの本に手を伸ばすのだと思います。

アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)

伊坂 幸太郎 / 東京創元社


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by takibi-library | 2008-12-30 10:29 | いつも読書 | Comments(0)  

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