「お縫い子テルミー」読了

去年、「ここち」で紹介した「オテル モル」の作者、栗田有起さんの本です。2つのお話が入っています。なんとなく立ち寄った駅ビルの本屋で、表紙がかわいくて買いました。

栗田さんは私にしては新しい作家さんです。でも、「オテル モル」が思いがけず好みだったので、また別の作品も読みたいと思っていました。そして、この本もよかったです。

「お縫い子テルミー」のテルミーこと照美は、15歳くらいなんだけれど、原始的な社会である“島”を出て、新宿歌舞伎町へやってきます。はじめてのお客シナイちゃん(男性)と出会い、“流し”のお縫い子として生きていくまでの物語です。
歩く速度で後ろへ流れていく景色を見ながら、自分がどこへ向かっているのかわからなかった。
一生恋人にならない人。彼だけには、だめな奴と思われたくない。
テルミーのシナイちゃんへの執着心の描かれ方が気に入りました。執着しているからこそ去る。ハードボイルドです。すがすがしい。
テルミーはガウチョ(カウボーイ)の歌を歌う。その旅立ちの姿は、「シェーン」のラストシーンのイメージにつながります。「行かないで」という子どもはいないけど。

もうひとつの話、「ABARE・DAICO」は男の子たちの話。しょーもない、同い年の女の子に比べると子ども子どもした様子が楽しいです。しかし、この作品については、話の筋以上に「おぉっ!」と目を見張ったことがあります。
それは、私と同じ苗字のスーパーの店員が出てきます。主人公が「名札の名前が読めない」とずっと悩むのです。たしかに私の苗字は一般的には読めません(Wordで変換はできるけど)。でも、もちろん私は読めます。もどかしい。教えてあげたい(笑)。
そんなわけで、一味違ったおもしろさがありました。

また、栗田さんのほかの作品も読みたくなりました。いい感じ。

お縫い子テルミー (集英社文庫)

栗田 有起 / 集英社


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by takibi-library | 2009-01-21 22:44 | いつも読書 | Comments(0)  

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