「おいしい人間」読了

高峰秀子さんのエッセイは、ちゃきちゃきとした語り口で読んでいて気分がいいです。

映画女優としての経歴をひけらかすことはなく、またそれに不必要に触れないのでもない、ほどほどの加減でエピソードが紹介されます。
今回はとくに「人間」を見つめた話が多いので、私なんかと同じ目線だと思わせる親しみやすさと、多くの人と接してきた経験に裏打ちされた的確な分析の鋭さ、どちらも強く感じました。

いちばん笑ってしまったのは、「花柳ゴジラ」と「伊東ラドン」。それぞれ、新派の名女形、花柳章太郎と、日本画の重鎮、伊東深水のことです。パリで、高峰さんと夫の松山さんが、ふたりの自由奔放なリクエストにきりきり舞いするうちに、こっそりそう呼んでいた話です。
ゴジラにラドンですよ。あまりのビッグネームにわらっていいのかと思いつつニヤニヤしてしまいます。ほんとうに怪獣の振る舞いですから。

高峰さんのエッセイは、必読の名著!という本ではないけれど、こちらのコンディションに関わらずすっと入ってくる、まちがいのないところが魅力です。
日々の暮らしでほっと一息つくにはもってこい。

おいしい人間 (文春文庫)

高峰 秀子 / 文芸春秋


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by takibi-library | 2009-03-07 20:22 | いつも読書 | Comments(0)  

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