「花と果実」読了

石坂洋次郎ははじめて読みました。

いろいろな性のかたちが出てくる小説で、3人の男女の手記で構成されています。手記だけに率直で、その率直さがいやらしさや過剰なセンセーションを抑えているので、読みやすかったです。
3人の男女の語る内容は、それぞれが少しずつ重なっていて、読み手は複眼的にできごとを見つめることができます。男の目線、女の目線。親の目線、子の目線。妻の目線、夫の目線。興味本位で読みすすめても、好奇心が充たされました。ふ~ん、そういうこともあるんだ、と。

ところで、この小説に“散文精神の時代”というのが出てきました。散文精神という言葉をはじめて知ったので、ちょっと調べてみたところ、広津和郎という人が唱えたものだそうです。
それはどんな事があってもめげずに、忍耐強く、執念深く、みだりに悲観もせず、楽観もせず、行き通して行く精神──それが散文精神
うーん、そういう意味だったのか。この小説(1967年)では、大学生たちが自分たちに都合のいい意味合いで使っていました。若者ってば、って感じです。大学を出てから10年以上経ちますが、大学生の会話って、時代が変わっても雰囲気は変わらないなぁと思いました。

【参考情報】
「花と果実」石坂洋次郎(講談社文庫、1975年) 絶版
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by takibi-library | 2009-03-09 22:47 | いつも読書 | Comments(0)  

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