「みちのくの人形たち」読了

深沢七郎というと「楢山節考」以外に浮かびません。でも、それを読んだかぎりでは、けっこう好きかも、と思っていました。
そんなわけでかねがね機会があったら積極的に読もうと気に掛けてはいたのですが、肝心なとき(古本屋にいるとき)にそのことを思い出さないことが多く、読まずにいたっていました。

この本は、「楢山節考」同様、レポートや紀行文のような淡々とした語り口の短篇小説が集められていて、どれも土着の風習、言い伝えなどを描いています。性に関するものも含まれていて、ちょっと「あやしい」感じです。私はこういうあやしいのがわりかし好きなので、たいへんおもしろく読みました。

でも、それ以上にこの本は出会い方がゆかいです。

私の短かった連休のささやかなイベントに、一箱古本市へちょこっと行く、というのがありました。5月4日は昼過ぎまで家で作業をしていたので、けっきょく一箱には閉店1時間前の散策となりました。かなりすかすかした箱が並ぶ中、映画保存協会でお店を開いていたとみきち屋さんで、深沢七郎「みちのくの人形たち」と遭遇したのです。

とみきち屋さんはほかのお店よりも格段に「売れちゃった」感が高かったのですが、なぜか残っていた「みちのく~」。風太郎さん(夫)ととみきちさん(妻)と思しき(というはあとでブログを読んで、そうなのねと)ふたりと、深沢作品はなかなか出会わないという話などをしました。

 ※とみきち屋さんのブログにもそのことが書いてありました。
  中年女性・・・ははは。やっと年齢相応に見てもらえるようになった!

おふたりとお話したきっかけがちょっとこっけいで、女性で深沢作品を探している、というか、いろいろある中から真っ先に手に取る人は少ないらしく、「もしかしてお好きですか?」と話しかけられたのでした。その時点で裏のあらすじをざっと読んで買う気まんまんになっていた私は、「はっ、やばい」と一瞬思いました。でもここは古本市、少々変わった嗜好を持っていても平気さ~と思って、「読みたいんです」と正直に言ったところ、大いに賛同してもらえて、うれしかったです。

・・・といういきさつが、この本にはあります。
とみきち屋さんは、秋にも出店するのかな。次の出店には早めの時間にたずねたいと思いました。

みちのくの人形たち (1982年) (中公文庫)

深沢 七郎 / 中央公論社


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by takibi-library | 2009-05-15 12:27 | いつも読書 | Comments(0)  

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