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「春に葬られた光」読了

ちょっと路線の違うものを読んでみました。

ジャンルはサイコサスペンスになるのでしょうか。ハイスクール時代に同級生による銃乱射事件を体験した主人公の、40代に差し掛かってからもつづく心の揺らぎを描いています。

主人公は、大学教授の夫、愛くるしい娘と暮らす主婦です。過去の事件のことなど思い出すこともなく、満ち足りた生活を送っています。でも、その「人もうらやむ幸福な主婦」であることに偏執的にこだわっています。
つまり、主人公がコワイ人なのです。

自分がミシェル・ファイファーに似ているとか、まだ丈の短めのスカートも着こなせるとか、いちいち確認するあたりはまさに自意識過剰で、大丈夫か?と思います。しかし、これはまだ序の口です。被害妄想が始まり(妄想じゃないこともあるからややこしい)、精神的に追い詰められていくと、これでまで事件の記憶と共に封じ込めてきた、今のような暮らしに憧れ続けた少女時代の記憶がよみがえってしまいます。
この少女時代のできごとが、現在の暮らしにふと影を落としながら物語が進んでいきます。

読み終わって、銃乱射事件との関連がいまひとつ明確にならなかったことに不満が残るのですが、こういう本もあるのだな、ということで。

春に葬られた光 (ヴィレッジブックス)

ローラ ・カジシュキー / ヴィレッジブックス





余談:この主人公が伊良部総合病院に行くところを想像して、勝手にウケてしまった。

by takibi-library | 2009-07-07 17:07 | いつも読書  

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