「山田さんの鈴虫」読了

以前、「庭のつるばら」をちょっと読んで、日記のような進み方をつかみどころがないように感じて、買わずに終わったことがあります。

でも、古本屋の均一棚で状態のいいこの本を見つけたので買ってみました。あらためて読んでみたら、どうして前はダメだったのかわれながら理解に苦しむほど、するすると読みました。

どこにでもいそうな老夫婦の日々の営みを描いています。
子どもたちは独立しそれぞれに家庭を持ち、ふだんは二人暮らしです。けれどもこの夫婦は自分たちが育ててきた子どもたちとその家族、仕事や人づてに知り合い親交を深めてきた人びとなど、これまでの人生で培ってきたつながりに支えられて生きて、それを楽しんで生きています。その暮らしぶりには素直に好感を持ちました。

この家族は好物を届けあったり、まめに手紙をやりとりしたりします。そして物語の語り手(日記の書き手)である老夫婦の夫は、ひとつひとつに「ありがとう」と記します。こんな、身内だからこその穏やかな感謝の表現や礼節には、わが身を振り返っていささか恥ずかしくなりました。

描かれている家族の有り様はきれいごとという人もいるかもしれませんが、たくさんのささやかな幸せに触れられる物語です。
橋田壽賀子ドラマが苦手な人にはとくにおすすめです。

山田さんの鈴虫 (文春文庫)

庄野 潤三 / 文藝春秋


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by takibi-library | 2009-07-26 19:30 | いつも読書 | Comments(0)  

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