「貴婦人Aの蘇生」読了

ロマノフ王朝最後の皇帝の娘、アナスタシアであるかもしれない伯母さんと、いきがかり上彼女の世話をすることになった“私”の物語です。

舞台はたぶん日本なのですが、それ以上どこの町か想像がつきません。そのことがどこかふわふわした雰囲気をかもしだしているのですが、表現が冷静で淡々としているので、甘ったるくなくていいです。
伯母さんと“私”の暮らしはペースが決まっています。ときどき“私”のボーイフレンド、ニコがやってくるのもペースの一部。けれども、伯母さんの夫の遺品である剥製のコレクションに目をつけた、剥製マニアのオハラがやってくることで、その暮らしの、そして物語の方向とスピードが徐々に変わっていきます。

オハラは登場から胡散臭い男なのですが、もしかして本当はそんなに悪い人間じゃないのかな?と思えてきます。このオハラの本性を見極めていくのがちょっとしたサスペンスとしておもしろかったです。
このオハラはいちばん興味深い登場人物。もし映画化とかされたら、いちばん最初にキャストを確認したいです。

物語はちょっとあっけない結末を迎えるのですが、伯母さんの人となりからすると、とても「らしい」終わり方でほほえましく思いました。

読んでいて楽しかったです。

貴婦人Aの蘇生 (朝日文庫)

小川 洋子 / 朝日新聞社


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by takibi-library | 2009-08-18 18:07 | いつも読書 | Comments(0)  

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