「きんぴらふねふね」読了

読むタイミングがよかったのか、食べものがたくさん出てきたからか、個人的には「月と菓子パン」よりもこの「きんぴらふねふね」が好きです。

ふだん本を読んでいて、小説にしろ、エッセイにしろ、「自分のことが書いてある」と思うことはないのですが、この本については、とても些細なことでそう感じることがときどきありました。そういうときは少し戸惑うのですが、著者と何かを分かち合えているようでした。はげまされているような、背中を押されるような気分になりました。
読んで、料理をする時間がよりいっそう大切に思えるようになりました。自分のために作っているので、いばれたものではないことに変わりはないのですが。

この本には50くらいのエッセイが収録されているのですが、ひとつ読むたびにわが身を振り返り、何かを思い出したり、思い知らされたり、しみじみと思ったりするので、寝る前に少しずつ時間をかけて読みました。これからもときどき読むと思います。

ところで、自分とは違うな、と思ったこともありました。
家事も用事も気ばかりせいて、腰があがらない。なだめすかせるようにまたふとんにもどってみても、こんどは眠たくない。それなら、どうしたいんだ。だだをこねるからだと、からまわりする頭が、がっぷり相撲をとっている。
押してだめならひいてみる。さいわいなんの約束もない。きょうはばかの日、やりたくないことはなんにもしないでよろしい。ばかの日というのは、ひとりだけに許された休日で、月にみっかほどある。この日のおかげで、暦のあかい日に休まないこともある。
私はばかの日が作れません。からだと頭の相撲は、本当に病気でないかぎり、頭が連戦連勝です。何だかんだで起き上がり、座って休むタイミングもつかめません。ただの貧乏性ですが、この話を読んだとき、ずいぶん前に言われたことを思い出しました。
それは私について「女性特有の『子宮でモノを判断する』とこが少ない、ってのが特徴」というものです。眠かろうがだるかろうが、ベッドに腰掛けて立ち上がるまでに、その日一日にいろいろこなす算段をつけてしまうのも、そういうことか。
言われたときはピンとくるものがなくて、「なんじゃそりゃ?」と思ったのですが、あれからもう7、8年かそこらたって、やっと身をもって理解できたように思います。

この1冊は、そんな昔のこと、昨日の晩のおかずのこと、遠いことも近いこと、どちらにも思いが向かう、お気に入りの本です。


きんぴらふねふね

石田 千 / 平凡社


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by takibi-library | 2009-08-28 22:45 | いつも読書 | Comments(2)  

Commented by non at 2009-09-02 16:37 x
はじめまして、こんにちは。
non と申します。
「月と菓子パン」で検索していて、こちらに辿り着きました。
「図書室たき火通信」というブログ名素敵ですね。
「きんぴらふねふね」読んでみたくなりました。
Commented by takibi-library at 2009-09-02 22:48
nonさん、ようこそ。こちらこそよろしくです。
「月と菓子パン」は奇跡的なデビュー作、代表作だと思っていましたが、「きんぴらふねふね」を読んで、奇跡じゃなかったなと思い直しました。ぜひ読んでみてくださいね。

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