「阿寒に果つ」読了

ついに読んだ(読んでしまった?)ナベジュン、渡辺淳一さんの本です。初期作品に入ると思います。

読むことにしたのにはちょっと理由があります。「どうしてナベジュンの本は売れるのか」とか、「北海道にゆかりのある作家の北海道を舞台にした作品といえば」とか、文庫本葉書つながりの人びとと話していて度々話題に上がったからです。←読むにあたって何となく言い訳したくなる作家、ではあります。

阿寒で自殺した天才少女画家・時任純子について、彼女の身近にいた男性たちと彼女の姉がそれぞれ語る構成になっています。
男性たちは、誰もが「純子がいちばん愛していたのは自分」と思っています。でも、全員の話を読み終わると、けっきょく誰もが純子に振り回されていただけのように見えます。男性たちの語ることから描かれる純子像はつかみどころのない人間、というところでしょうか。天才ってこういうものなのかもね、と簡単に片付けられる感じです。

ところが最後、彼女の姉の話が種明かしになっていて、急にはっきりとしてきます。あやしい美しさのように見えていたものがくっきりとしてきて、読者は目が覚めます。
けれども、それまでに純子を語っていた男性たちはこの姉の話を聞いてもきっと、彼ら自身の純子像は変わることがないのではないのかと思います。それがいいことなのか、悪いことなのか、幸せなのか不幸せなのかはわからないけれど、元々の性質として、男性には多かれ少なかれそういうところがあるんじゃないかな、と思いました。

ということで、それなりにおもしろかったように思うのですが、なにぶん今はあのナベジュンですから、そのイメージが強すぎて素直に「おもしろかった」とは言いづらいです。

阿寒に果つ (角川文庫 緑 307-2)

渡辺 淳一 / 角川書店


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by takibi-library | 2009-10-24 11:55 | いつも読書 | Comments(0)  

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