「ポポイ」読了

倉橋由美子さんの怪しい、美しい物語。

もともとラジオドラマのために書かれた作品だそうです。こういう作品がラジオドラマになる、ある程度一般に受けるとされたことが、ちょっと不思議な気がします。

切腹して、介錯によって首だけになったテロリストの青年と、そのテロリストの標的となった政界のドンの孫娘舞との交流の物語です。
首に特殊な装置を使って生き延びている美しい顔立ちの青年の様子はなんとも薄気味悪いのですが、婚約者に世話を頼まれた舞は、彼にポポイと名づけてコミュニケーションを続けます。

ポポイの寿命が尽きかける後半に描かれるのは、舞と“本当の”恋人、慧との関係です。こちらがおもしろかった。
慧は一種の天才で、あまりの才能ゆえに、全世界からコミュニケーションを求められ、それに応えて生活しています。「いつも無限に優しいのがこの人の特徴で、だから慧君は聖者」であると舞は言います。

この慧というキャラクターはとても興味をそそられます。万能感はここちがいいです。こういう「スーパー・ノヴァ的人間」への憧れが私はとくに強いのかもしれませんが、個人的にはこの登場人物と遭遇しただけでこの本は当分の間お気に入りに加わることでしょう。

ポポイ (新潮文庫)

倉橋 由美子 / 新潮社


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by takibi-library | 2010-06-20 22:55 | いつも読書 | Comments(0)  

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