「時雨の記」、「パラレル」、「ショートソング」読了

夏休み中にいろいろ読みました。

■中里恒子「時雨の記」
自分じゃぜったい手をつけなさそうなところにチャレンジ、という意味で選んで読みました。中年の恋愛小説です。
会社を経営し、その面では成功している壬生と、夫に先立たれてからつつましくひとりで暮らしていた多江が共通の知人の披露宴で再会して、つきあいがはじまります。
恋愛面で感情移入して気分に浸ることはありませんでしたが、多江の暮らしぶりや、二人が骨董や古道具について語り合う様子はいいなぁ、と思いました。年をとったら、そういうものにもそれなりの見識を持っていたいです。
それから、海外出張中に壬生が多江に送るたくさんの手紙がよかった。私もああいう、思ったことをそのまま書きつけたような勝手な手紙を送りつけたい。読んでくれる人がいれば。

■長嶋有「パラレル」
元妻からふつうに「元気?」とメールが届く「僕」と、顔面至上主義の津田を中心とした人間模様。なんとなくダメな感じでも、暗くなくて、さらっとしている、長嶋有さんの本が読みたい気持ちにちゃんと応えてくれる物語でした。
男女関係や結婚生活のついての名言がいっぱいあって、それがいちいちおもしろくて、付箋がいっぱいつきました(=文庫本葉書の引用候補)。おもしろかった。

■枡野浩一「ショートソング」
おもしろいらしいと聞いていたので。
ハーフでハンサムなのにもてない大学生の国友と、プレイボーイの天才歌人(で、デザイナー)の伊賀を対比しながら描いています。しょっちゅう短歌が詠まれるのですが、それはまったく違和感なく織り込まれています。
たしかに笑えた。でも、どうなんでしょうか、最後。私にはよくわかりませんでした。で、どうなったの?と思いました。ちょっと尻切れトンボというか、うまくとじられていない感じです。
けれども、最近の短歌事情、歌壇事情を知ることができること、短歌はポップでもいいんだな、ということがわかったことは、大きな収穫。このあたりのことは、すごくおもしろかった。
ほんと、結末がもうちょっとパキッとしていたらすごくいいんだけど・・・。

時雨の記 (文春文庫)

中里 恒子 / 文藝春秋


パラレル (文春文庫)

長嶋 有 / 文藝春秋


ショートソング (集英社文庫)

枡野 浩一 / 集英社


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by takibi-library | 2010-08-18 19:14 | いつも読書 | Comments(0)  

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