「タンノイのエジンバラ」読了

まだまだつづく、長嶋有ブーム。

聞いたところによると、日常のささやかなできごとを積み上げていって、結果として何も起こらないまま終わる作品を「ディティール小説」と呼ぶそうです。長嶋作品はまさに「ディティール小説」と言えるとのこと。

この本は短編集で、表題作の「タンノイのエジンバラ」のほか、「夜のあぐら」、「バルセロナの印象」、「三十歳」と、4つの話が収められています。どれも人生の短い一時期(一晩から1ヶ月程度)のできごとです。

誰の人生にも起こりうる問題を解決しようと心を砕いている最中に、ちょっとしたこっけいなことが起きることも人生には珍しくありません。その問題のシリアスだけを描いて物語を進めることはできると思うし、それが一般的なのかもしれません。けれども長嶋さんは、こっけいなこともできごとのひとつとして対等に描きます。それがわたしには現実味や親しみを感じるところです。

人生にはめんどうなことが多いなと、あるいは、けっこういいことも多いなと、行ったり来たりしながらニュートラルなところに落ち着く。読み終わったときの穏やかな満足感があります。

タンノイのエジンバラ (文春文庫 (な47-2))

長嶋 有 / 文藝春秋


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by takibi-library | 2010-12-11 22:12 | いつも読書 | Comments(0)  

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