「珈琲とエクレアと詩人」読了

読み終わった本はいっぱいあって。これから少しずつ読書感想をUPしていきます。

エクレアが好きです。シュークリームも好きですが、エクレアも作っているお店はシュークリームほど多くなくて、見つけるとうれしくなります。
ウエストの、いかにもシュークリームの変形みたいなものも、ブーランジュリーのきつね色に焼いたしっかりした歯ごたえのものも、エクレアと名前がついていればそれでいいんです。

そんなわけで、往来堂の棚に「珈琲とエクレア」という文字列を見つけたとき、ケーキのショーケースに「エクレア」の札が並んでいるようにうれしくて、思わず手に取ってしまいました。
中身がどうとかではなく、「詩人」はとりあえず置いておいて、「珈琲とエクレア」で、買い。

でも、この本は「詩人」の話。

わたしにとって詩人は遠い存在で、それに対して、少し偏見を持っています。いろいろ変わっているだろうとか、生活能力がなさそうとか。
この本で描かれている北村太郎さんも、そんな偏見を払しょくするタイプではなく、親友の妻と同棲してして、ふたりして少し心が弱く、身体も弱く(年齢的なものもある)、そのために家事が行き届かなくて家の中が不衛生になってしまうことがあります。
そして、そういうことはわたしにはいささか不快で、あまり見たくなくて、楽しく読めるものではありません。ふだんは。

でも、読んでいていやな感じはしませんでした。
静かな物語ですが、いやな感じがしないという事実はわたしにとって衝撃でした。

それはひとえに、著者の橋口さんの語り口のおかげだと思います。
大切な友人の話を聞かせる、そういう語り口。わたしは橋口さんの知り合いでもなんでもないけれど、その場で「あなたの友だち」の話を聞いているから、目の前の人も含めた近しさが、わたしの中の偏見という一般論が入るすきを作らなかったのだと思います。

この本の持つ親密な空気は、これからも何かにつけわたしをなぐさめてくれるでしょう。
くいしんぼうの気質で衝動買いした本でしたが、思いがけず大切なものになりました。よかった。

珈琲とエクレアと詩人 スケッチ・北村太郎

橋口幸子 / 港の人


[PR]

by takibi-library | 2012-09-07 08:35 | いつも読書 | Comments(0)  

<< 「犬はどこだ」読了 Facebookと連携させてみます。 >>