もやしの罠

わたしはもやしの罠にかかって、たぶん、もう一生抜けることはできない。

むかし、テレビの料理番組で、プロの中華料理人が「もやしは根を取り除いて調理する」というのをやっていて、それが頭の片隅に残っていた。それをふと思い出したある日、時間もあって、実践してみた。

以来、もやしを調理するときに、根を取らずにいられなくなってしまった。「根切りタイプ」でもそのまま使わず、少しの根も取り除く。これが、もやしの罠だ。

これは、あくまでも自分が調理をする場合に限られていて、出された料理に根つきのもやしが入っていても、気にならない。

どうして取らずにいられないのか。それは、取った根のかたまりを見てしまったからだと思う。もやし本体(?)についているときは、根ももやしの一部なのだけど、ひとたびちぎりとると、それはもやしではない、食べものらしくもない、茶色いもじゃもじゃだ。そのもじゃもじゃは、正直、食べたくない。
この感覚は、散髪のとき、床に散らばった髪の毛が、もう自分のものではない、掃除されるものであることと近いと思う。

だから、これから「たまにはもやしの根を取ってみようかしら?」と思っている人は、この先ずっと、もやしの根を取り続けることをいとわないと覚悟をして臨んでほしいと思う。そして、根を取った後の、くすみのない白いもやしの山に、小さな満足を覚えることを楽しみに。
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by takibi-library | 2016-08-05 10:34 | くらし | Comments(0)  

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