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NHK・BS「名作平積み大作戦」

昨日の夜、「さて、そろそろ寝るか」と思ったとき、ふとつけっぱなし(「助太刀屋助六」を見てました)のテレビで、こんな番組が始まりました。

「名作平積み大作戦」

ゲスト2名が推薦する名作(古典)を紹介して、観客がそのプレゼンを見て読みたくなったかを投票します。その投票結果とゲストが書いたポップを見て、書店員3人が自分の店に平積みするかを判定する、という番組です。

昨日は、独身女性にすすめる結婚について書かれた本として、ジェイン・オースティンの「高慢と偏見」、谷崎潤一郎の「細雪」が紹介されました。

両方ともあらすじは知っているので、セレクト自体は「なるほどねぇ」というところ。
でも、どちらもちゃんとは読んだことがないので、これを見て、気が向いたら読もうと思いつつ見てました。

私のつたない立ち読み経験からすると、「高慢と偏見」の翻訳はいまひとつのようです。岩波のは、なんだか堅苦しすぎるし、ちくまのは読みやすいけれど、敬語がおかしい気がします。階級社会を描くのに敬語がきっちりしてないと、やっぱり雰囲気が出ないんですよね。
よって、新訳が出たら(出るのか?)読もうかな、と。
ただ、イギリスで「指輪物語」の次に支持されている作品だというのは知りませんでした。そういえば、「指輪物語」はあの訳でも読破したからなぁ・・・。

一方「細雪」。
これにはちょっと思い出が・・・私が行った大学の入試の2次試験で問題に使われました(笑)。それだけです。谷崎作品は大学受験対策で「陰影礼賛」を読んだきりで、ぜんぜんですね。なんとなく、読んでもいいかなという気分。

でも、プレゼンでいただけない箇所が。
谷崎潤一郎が妻の松子に宛てた手紙を紹介して、「すでに結婚している妻に対して、こんなラブレターを」と言っていたことです。観客の女性はいくらか感動しているようでしたが・・・。

内容は「芸術のためのあなたではなく、あなたのための芸術なのです」というもの。
たしかに、谷崎は松子にかしづくように接していたらしいです。でも、それは「普通の妻であることを許さなかった」ということです。「あなたのための芸術」と言わしめるだけの「あなた」であり続けることを要求したんです。
そのために出産を絶対に許さなかったと聞きます。おなかの子供がかなり大きくなってからでも堕胎をさせたと聞きます。
そういう間柄でのやりとりを、「ラブレター」と一般化して紹介するのはちょっとずるいなぁと思いました。

でも、そういえばそういう人だったのだなぁと思い出すと、谷崎作品がかなり読みたくなってきました。不思議と。

by takibi-library | 2005-05-01 11:10  

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