「東京奇譚集」5 "品川猿"(2回目)
2005年 10月 22日
「まあ、とにかくそれが軽度の嫉妬。つまり、やきもちっていうやつね。でも重度のもになると、そんな簡単な話じゃ済まなくなってくる。それは寄生虫みたいに人の心にどっしりと居座ってしまうの。そしてある場合には―あなたのそのお友達が言ったように―腫瘍のようになって魂を深くむしばんでいく。そして人を死に至らしめることさえある。それは抑制が効かないから、本人にとってはものすごくつらいことなのよ」
私はわりと最近まで嫉妬というものを感じたことがありませんでした。でも今は、それはそれで不健全なことなのかもしれないと思います。この主人公もそうですが、私も嫉妬を感じない代わりに、いくつかの問題を見ずにすませてきたからです。
「腫瘍のような」嫉妬は不健全ですが、問題を抱えつづけることもまた不健全です。
きちんと向き合ってその上で感じる嫉妬はきっと前へ進むエネルギーになると思います。
by takibi-library | 2005-10-22 23:29