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☆"サヨナラだけが人生だ"

昨日、「ひとたびはポプラに臥す3」を読み終えました。
終わり近くに、私も大好きな漢詩の訳がでてきました。
この杯(さかずき)を受けてくれ
どうぞなみなみつがしておくれ
花に嵐のたとえもあるぞ
「サヨナラ」だけが人生だ

これは「勧酒」という漢詩を井伏鱒二が訳したものです。
この詩には私の読書生活に欠かせない人との思い出があります。

以前、友達と食事をしながら、この「サヨナラだけが人生だ」が誰の言葉か、という話になり、調べたことがあります。そして、この詩の全文をはじめて読みました。このひとからは、「三国志」や、佐藤正午さん、山本周五郎さんの作品につながりました。
井伏訳であることを別の友達に報告したら、「鱒二の杯が満ちてくるようだ」と言われました。そして、そのひとからすすめられた本は、「指輪物語」。

そして今日、箱根に愛すべき仲間と植樹に行きました。
仲間内のあるお祝いの記念の分と、個人個人の分と、全部で27本植えました。

植樹の場所に向かう道のり、車のフロントガラスに、白い桜の花びらがはらはらと舞い落ちました。私はこの詩をを思い出して、心の中でそらんじました。

植樹した木は、必ずしも全てが順調に育ちません。
手入れが足らなかったり、小さいうちにウサギに葉を食べられてしまったり、風に負けてしまったりして、枯れてしまうことがしばしばだそうです。
2年後、3年後、私たちが植えた山桜が花を咲かせるように、ときどきみんなで世話に行きたいです。

そして、その木の下にみんなと一緒に集えるように、みんなに恥ずかしくない自分でいるように、私自身の手入れも怠らないように勤めなければなりません。

by takibi-library | 2004-04-10 23:05  

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