「ある生涯七つの場所」

辻邦生さんのこの本は、私は中公文庫版で読みました。かれこれもう10年以上前のことになりますが、その当時でも全7巻を置いている書店はなくて、職場に出入りしている本屋さんに頼んで取り寄せたと記憶しています。

15年の歳月をかけて完成させた、親子3代に渡る「現代史のモザイク」は、7つの色ごとに14の短篇、プロローグとエピローグを加えると100篇の短篇で織り成されています。
それぞれの短篇はそれだけでも(短篇として)成立し、色ごとにまとめられる14の短篇はそれで一つの流れを作り、また、各色の同じ番号の物語も何らかのつながりがあり、はじめのほうで語られたなぞが、ずっと後になってから、おだやかに明かされ・・・まさに、織物のようです。

物語の舞台も昭和初期の日本からアメリカ、ヨーロッパと広大です。

自分が何様かでもあるような言い方ですが、この本は、読み手を選びます。
ただ、物語が好きな人は、確実にはまります。

しかし、はまるにもコツがあって、いちばん最初の世界史の教科書のような内容の部分はあまり読み込もうとしないでさらっと流すこと。
そこさえ越えてしまえば、物語の奔流に思いっきり溺れるだけです。

もし、これを読んで興味を持っていただけたら、図書館で借りてみてください。
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by takibi-library | 2005-12-13 22:52 | いつも読書 | Comments(1)  

Commented by 3n-hak116 at 2005-12-14 21:12
中公文庫、了解です・・・!早速探してみます。
"読み手を選びます" "はまるにもコツがあって"と、おっしゃるあたりも
さらなる興味をそそられますね。
土曜日・いざ・図書館、です。 では・・・

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