「私の幸福論」:やさしい言葉遣い

福田恒存さんの本を買ったのははじめてです。
かねてから一度は読んでみなくてはと思っていた書き手のひとりでしたが、かなづかいの点で読む気力が湧かないままに過ごしていました。

ちょっと気が高ぶっていた金曜日の仕事帰りに立ち寄った本屋で平積みになっているのを見つけました。「私の幸福論」―幸せについて思いをめぐらせていたので、なんとなく手に取ってみるとふつうのかなづかいで書いてありました。

あとがきによると、
私は全集、文庫本以外、自著の単行本は歴史的かなづかい、即ち正かなづかいを用いる。その理由は新潮文庫「私の國語教室」をご参照願いたい、が、この書は主として若い人々を対象としたものなので、新潮社版以来、連載時の現代かなづかいを踏襲した。
この本ははじめから現代かなづかいであったのでした。そして、連載時というのは1955~56年であるとのこと。このころはかなづかいの論争も進行形だったのでしょうか?

それはさておき、読みすすめてみるとこれが50年前に書かれたという感じが全くしません。連載された雑誌「若い女性(すごいタイトル)」の読者層が何歳くらいだったのかがわかりませんが、30代の私が読んでも素直に諭されます。「そういうことか」と思うのです。
今のところ、"美醜について"と"自我について"を読みましたが、たしかにそうだとうなずいてしまいます。

けれども、もしこれを10代で読んでいたらどうだったかなぁと想像してみます。「そんなことないやい」と思ったかなぁ・・・思わない確率のほうがちょっと高いかなぁ・・・といったところ。
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by takibi-library | 2006-05-28 22:46 | いつも読書 | Comments(4)  

Commented by saheizi-inokori at 2006-05-31 13:25
「私の國語教室」は読みましたか?旧かなも悪くないと思います。
Commented by takibi-library at 2006-05-31 22:03
まだ読んでいません。今読んでいる本を読みすすめるうちにとても興味が湧きまじめました。
福田さんの文章を読んでいると、こちらの理解力を引き出してくれるように語りかけてもらえているみたいな気分です。
Commented by nyankoya at 2006-06-01 08:39
またしても触発されてしまいます。
よし、今日ABCで探してみよう。
普遍的なものって、何十年たっても古い感じがしないものですよね。
本にしろ、映画にしろ、絵画にしろ。
そういうものに出会うと、「人間の強い部分」に触れた気がして嬉しくなります。
Commented by takibi-library at 2006-06-02 08:01
にゃんこやさん、
私には若い人(学生さん)に接する機会があまりないのですが―このブログにコメントをくれるヨシカズさんくらいかなぁ(笑)―若い人(とくに女性)に読んでほしいと思いました。
でもふと、この本の言葉でさえ鼻にかけてももらえないのではないか、という不安というか諦めが自分の中に一瞬浮かびます。
それでも、この本を読みすすめていると、そういう気持ちは押しのけてしまおうと励まされます。

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