「刑務所の中」感想

この本も、花輪さんの服役体験をもとにした実話です。

刑務所・・というのが正直な感想です。その中でとくにショックだったのが、受刑者たちの甘いものに対する執着心や飢餓感です。

日々の食事のおかずに煮豆があるときのはしゃぎ方は、給食で待ちに待ったメニューが巡ってきたときの小学生のような喜び方です。そして、甘いものが食べられるなら、「見つかれば懲罰」という行為もためらわないという受刑者・・・それなりの年齢の男性が、です。

仕事中に飴を食べている日常からは想像もつきませんが、人間にとって「甘味」とはとても基本的な快楽なのかもしれません。

また、完全な「平等」とは人工的なものなのだということを感じました。
刑務所では弱者を作らないために、支給される食べものを自分以外の人に譲ることが禁止されています。つまり、力の強い者が弱いものから食べものを奪うことがないように、という配慮です。

そのため、食べ切れなくて残したものは、平等のために全て残飯となります。
「食べきれないっていうから、もらった」は懲罰の対象です。
理不尽だとも思うのですが、これは長い時間をかけて培った合理的なルールなのでしょう。

甘味と平等・・・ふだんは意識しないことに気づかされる本でした。

刑務所の中
花輪 和一 / 講談社
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by takibi-library | 2006-06-25 22:32 | いつも読書 | Comments(2)  

Commented by ましゅ at 2006-06-26 08:22 x
美味しいものに喜び、月曜日にゆううつになるという普通の生活が塀の中にもあることが、驚きでした。
Commented by takibi-library at 2006-06-26 23:40
たしかにそうかも。
どこにいても、そのとき食べられるいちばんおいしいものは確実に心を励ましてくれるものなんだね。

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