「にんげん住所録」:理想

この本は平成14年(4年前)に書かれたものです。
当時、著者の高峰秀子さんは77、8歳でいらっしゃって、
半病人のフーラフラで、一日の大半はベッドの中にいる。といっても、これといった故障があるわけではなく、体力気力が衰えてなにをするのもメンドクサイだけだから、つまり「老衰」という自然現象であることは自分でもよくわかっている。
というような体調のときもあったようです。

日々送られてくる手紙を読み、返事を書き、ときには海外へも旅行へ行き、思い出にひたり、人が先立ったときは静かに悼み、本を読む・・・そんな穏やかで、(失礼かもしれないけれど)つつがなく死を迎える準備をするような暮らしぶりは、将来の理想としたいところです。

しかし、このような境地に至るまでには、映画女優としての大活躍、パリへの逃避、帰国後、さらに映画やテレビへの出演、という社会活動と、それを通じての多くの人々との出会いがあります。そして、その出会いが穏やかな暮らしにリズムと色彩を与えてるように思います。
有名な映画監督、大物歌手と、それは華やかな別世界ですが、仕事を通じて知り合ったという点では、私にもたくさんの出会いがありました。

最近、勤め先でいろいろな人が送別会を開いてくださっています。
先週も以前いた部署でご一緒した上司の方お二人と食事をしました。食事をご一緒することはもう3,4年ぶりで、今ではお二人とも「○○室長」と、肩書きつきで呼ばれるようになりましたが、その席では、相変わらず「○○さん」と呼ばせてくださいました。

お店を出てから、駅のホームで「がんばって!お店が軌道に乗ったころにこっそり見に行くから、気を抜かないように」と言ってくださいました。
こういう言葉は社交辞令かもしれません。でも、社交辞令になるかどうかは私しだいだと思います。この先もどんなに出世しても、ばったり道で会うときに○○さん、と声をかけられる私でいたいです。

そして、うんと先、穏やかに暮らせるようになったら、ときどき大企業にいた自分とその頃のできごとを思い出して、楽しめるようになりたいです。
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by takibi-library | 2006-08-07 21:29 | いつも読書 | Comments(0)  

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