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「水木しげるの娘に語るお父さんの戦記」読了

友人から紹介された本です。
戦争体験の本なので、読み進めるのがつらいかと思いましたが、すらすら読めました。

マラリヤが慢性化した水木さんは、戦地で寝込んでしまいます。一日寝ているのでぼんやり考え事をして過ごしたそうです。
いったい文明なんてなんだ(そのころは、日本人を土人と比べて、文明人だと思っていた)。いじめられ(お父さんは階級が一番下だったので常に兵隊になぐられていた)、そして、なにかあると、天皇の命令だから死ねとくる。
それにくらべて、土人の生活は、なんとすばらしいものだろう。原始生活のいい方向がのびずに、妙な方向に人類は進歩、いや、狂歩してしまったのかもしれない。その証拠にやたらに心配ばかりふえて、忙しいばかりで、なにもない。なんとか、このすばらしい原始生活を改良して、ほんとうに生きがいのある「近代原始生活」といったものでも発明できないものかなあ、と考えたりして暮らしていた。
戦時中で既に日本人は「心配ばかり増えて、忙しいばかり」だったということがショックですし、その傾向は今も歯止めがきかないまま進行していると思います。

また、戦時中であっても、若い頃はそれなりに明るい思い出となるのだと思いました。
でも、そのとき戦争へ行かずにすんでいたら・・・と悔やまずにもいられません。


水木しげるの娘に語るお父さんの戦記
水木 しげる / 河出書房新社

by takibi-library | 2006-09-04 20:38 | いつも読書  

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