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「風眼抄」:僭越ながら共通点?

山田風太郎さんの「風眼抄」を読んでいます。忍法帖で有名な著者のエッセイです。かねてから読みたいと思っていて、手に入れました(というほど希少性の高い本ではありませんが)。
子供の頃の記憶や、小説家になるまでの経緯などから、小説家としての暮らしぶりまで、テーマは幅広く、ひとつひとつは短いので、おもしろくて読みやすいです。

今日読んだところでは、私の人生における「ゆるさ」にちょっと近いかも?と思われる記述に出会いました。
何とか医大を出たものの、ついに作家になり果てたのは、さっきいった「いやなものはやらない」という私の主義のおかげである。要するに私は医者よりも作家の方がいやではなかったのだ。
右のごとく大決心の結果作家になったのではなく、ふらふらのゆきがかかりでそうなったのだから、はじめはペンネームの読み方さえ、自分でも一定せず、フウタロウかカゼタロウか、呼ぶ人にまかせていたのだが、その後どうやらフウタロウにきまって来たようだ。その方が私にふさわしいように思う。
私も会社勤めがいやになった訳ではないんです。本に携わる仕事という比較対象が出てきたときにはじめて、「どっちかというといや」だということなのです。


風眼抄
山田 風太郎 / 中央公論社
ISBN : 4122017599

by takibi-library | 2006-09-05 20:44 | いつも読書  

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