「風眼抄」読了

この土日は読書も停滞気味でしたが、今日はすっかり気分がよく、「風眼抄」の残りを読み終わりました。

この本は山田風太郎さんの随筆を集めたもので、生い立ちについて、作家としての暮らしについて、他の作家との交流や文学についての3つに分けて収録されています。この分類は私にとってとても読みやすかったです。

他の作家についての随筆では、やはり江戸川乱歩についてのものが興味深いです。「大乱歩」と称される師について、ある意味いいたい放題の部分もあって、思わず笑ってしまいました。
とくに、戦前人付き合いを極端に避けていた乱歩が、戦後になって人が変わったように陽気で社交的になったことについての彼の説(「乱歩妖説」)は奇想天外ですが、妙に納得できます。私はきっとそうに違いないと思いました。
乱歩が陽気になった理由として、あるコンプレックスを克服したことを挙げているのですが、それは、単に人柄にだけ作用していたことではなさそうだからです。
しかし、はじめに珍説だといったが、ほんとは珍説だとは思わない。コンプレックスのない作家というものが存在し得るだろうか。いや、それの大きい人ほど、すぐれた作家であり得るのではないか。事実このコンプレックスから開放された乱歩先生は、戦後いかに書こうと努力されても、ついに会心のものがお書きになれなかったのではないか。
私のようにコンプレックスはあるにせよ、なんだかんだで現状満足度の高い人間は、その図太さゆえに作家には向かないのだと思います。
なる気はさらさらないのですが、納得です。
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by takibi-library | 2006-09-11 12:03 | いつも読書 | Comments(0)  

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