「野垂れ死に」読了

奥様である藤沢モトさんの「勝負師の妻」を読んで以来、ずっと読みたいと思っていたこの本。勝負師本人である、棋士・藤沢秀行さんが語る半生記は、期待を裏切らず興味深く、おもしろかったです。

6つの章で構成されているのですが、それぞれの表題が漢字1文字です。死、金、酒、芸、人、血、絆・・・この表題の羅列だけで、その生き様の激しさが伝わってきます。3度のがん、大借金、アルコール依存、棋士としての成功、3つの家庭、・・・そして、それらを全て飲み込んできた妻、モトさん。
私にはやはり、モトさんについて書かれた絆の章が思い入れがあります。

秀行さん、モトさん、お二人とも直感で「この人だ」と思ったそうです。
モトさんにはその後とんでもない展開が待ち受けていたわけですが、激しい浮き沈みを経て、「女房こそがバケモンだ」、「この女にはかなわない」、「長年の強敵、終生の伴侶」と言わしめています。やはり、直感は外れていなかったのでしょう。

モトさんの本を読んだとき、「すごいなぁ」と感心するものの、ひとりの人の人生をすべて飲み込むような生き方は、果して幸せなことなのか、疑問に思っていました。たとえその人が天才であったとしても、結局自分自身の人生を他人を通して見るようなもどかしさがあるのではないかと考えていました。
しかし、秀行さんのように「ライバル」としてくれていたら、全く変わってくるのでしょう。天才の陰ではなく、真っ隣りを歩いていけるのですから。

これしかできない。
それでも、境遇や才能に甘んじるのではなく、切実な本気さで日々の生活に臨むことが大切なんですね。きっと。

野垂れ死に
藤沢 秀行 / 新潮社
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by takibi-library | 2007-01-03 17:05 | いつも読書 | Comments(0)  

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