「黒い画集」:う~ん・・・黒い!

このところ、こざっぱりとした心地よい暮しばかりの本を読んでいたので、今度はドロドロ系に振れてみました。松本清張の「黒い画集」です。

この短篇集、文庫の裏表紙のあらすじによると、「どこにでもあり、誰もが容易に経験しうる日常生活の中にひそむ深淵の恐ろしさを描いて絶賛された連作短篇集」です。本当はこの連作の中に「家政婦は見た!」の原案になっている話があると知って、買ったのですが、この本にはその作品は含まれていませんでした。ちょっとがっかりして、買ってすぐには読む気が湧かなくて、ほったらかしにしていました。

それはさておき、今のところ7作のうち4作読みました。どれも人間なら誰でも持っている、虚栄心や執着心がえぐいほどにリアルに描かれています。黒いです。もう、ドロドロ、まっ黒です。はじまりは恋愛感情があっても、それ自体の楽しさや喜びは一切なく、それゆえの不安や不信がくっきりと描かれています。

どの作品も、1文1文に緊張感があり、読み進めるごとに物語の確信に迫っていく感触がひしひしと伝わってきます。そして最後は、転落するにせよ、逆転するにせよ、しっかり納得できるせいか、読み終わってからはそれまでのえぐみはなくなっているのです。こういうのが「完成度」というものなのではないかと思います。

残り3作も期待大です。

黒い画集
松本 清張 / / 新潮社
ISBN : 4101109192
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by takibi-library | 2007-02-27 22:41 | いつも読書 | Comments(0)  

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