「花の生涯(下)」読了

おもしろかったです。とにかく続きが楽しみで、暇さえあれば読んでいました。

NHK大河ドラマ第1作目の原作という刷り込みのおかげで、その間に聞くクラシックはまるで、その主題歌のように聞こえてしまうくらい、密かに傾倒していました。
幕末の激しいうねりのさなかに、フルオーケストラで聴くストラヴィンスキーは、なんとも大河っぽくて、音楽も本も感動2割増くらいでした。

この小説には、井伊直弼を中心とする政治の動きばかりでなく、その当時の風俗もいきいきと描かれているので、引き締まっていながら華やかさもあります。粋な描写、せりふ、ひとつひとつにわくわくします。

舟橋作品、もっと読んでみたいです。

花の生涯 上 新装版 (1)
舟橋 聖一 / / 祥伝社




花の生涯 下 新装版 (3)
舟橋 聖一 / / 祥伝社









直弼は、不遇の時代はつつましく暮らしながらも、学問や芸術に親しみ、世の中への関心を持ち続けていました。腐ることなく、静かにひたすらに考え抜いたことが、結果的にその後、突如激動の世を束ね、国を導かざるを得ない立場に置かれても、ひるむことなく自分が最良と思う道に突き進む原動力となっていました。

井伊直弼というと、安政の大獄の指揮を執った非道な執政官というイメージが強いのですが、実はその安政の大獄も、彼が全て指示していたわけではなく、各藩の独断であったり、お家を守るためのに極端な行動で幕府にアピールをしたりしたためであることもわかりました。

しかし、安政の大獄を防げなかったことも事実で、いくら直弼が有能であっても行き届かないところがあった、ということなのだと思います。それは、彼の味方が少なすぎたからだと思います。
返す返すも長野主膳がもっとしっかりしていれば!です。私が憤っても仕方のないことですが。

直弼には行き届かないところもありました。
けれども、彼の目や耳手の届く限りのところは、細やかな気配りと鋭い観察眼が行き届いていました。いちばん辛いのは直弼自身であったとしても、それを自覚してなお、彼は周囲の人々を敬い、心の上では対等な関係を持ち続けていたところが魅力的です。
側室・里和や息子の愛麿と過ごすときは、心からくつろぎ、たか女の魅力に恐れ入り、部下たちの尽力に感謝します。

こういうのを器が大きいというのだと思いました。
ひさびさに「ダントツ魅力的な主人公」です。
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by takibi-library | 2007-05-21 22:35 | いつも読書 | Comments(0)  

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