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「月と菓子パン」読了

ずっと読んでみたかった、石田千さんのエッセイ集がついに文庫化。待ちに待っていたので買ったときはほくほくでした。

もったいないからあんまりがつがつ読まないで、気分にちゃんと余裕があるときに、寝る前にひとつふたつと読み進めました。そして今日、久しぶりに行った川沿いのカフェで読み終えました。

今までにない感覚です。僭越ですが、読み進めるうちに、どんどん私に寄り添ってくるような感じがします。本に対する感想としてはどうかと思うんだけれど、それが今感じていることのいちばん適切な表現です。

洋服だったら何回か着て、洗濯してだんだん生地がこなれていく感じ。
お店の料理だったら食べ終わって、気持ちよく膨らんだお腹と心をたしかめる感じ。
温泉につかってしばらくしてから、ふとんの中で自分の足の温かさに気づく感じ。

洋服のサイズとか、料理の塩加減とか、温泉の温度とか、私のためにあつらえたわけじゃないものが自分になじんでいることはうれしい。でも、すごく興奮するっていうんじゃなくて、じんわりうれしい。
そんなうれしさがこの本にはありました。いい本見つけたな、自分!

この本は、親しい人にあげる以外の理由では手放しません。


月と菓子パン (新潮文庫 い 86-1)
石田 千 / / 新潮社
ISBN : 4101318514

by takibi-library | 2007-08-17 22:41 | いつも読書  

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