「ニシノユキヒコの恋と冒険」読了

久しぶりの川上弘美作品でした。おもしろかったです。

Amazonの商品紹介より。
ニシノくん、幸彦、西野君、ユキヒコ…。姿よしセックスよし。女には一も二もなく優しく、懲りることを知らない。だけど最後には必ず去られてしまう。とめどないこの世に真実の愛を探してさまよった、男一匹ニシノユキヒコの恋とかなしみの道行きを、交情あった十人の女が思い語る。はてしなくしょうもないニシノの生きようが、切なく胸にせまる、傑作連作集。

ニシノユキヒコの生きようははてしなくしょうもないとは思いませんでした。「まぁ、そうなるだろうなぁ」くらい。男の人のいいところと、ちょっと弱いところの権化。

おもしろかったのは、ニシノくんも、幸彦も、西野君も、ユキヒコも、みんな一緒だったことです。それぞれ違う女性が語るニシノユキヒコ像はちゃんと1点で重なっています。
やっぱりそうか・・・と思いました。たぶん、女性たちは「私のニシノユキヒコ」を語っているのですが、それは別の女性のニシノユキヒコでもあるんです。
私だけが見ている側面や、つかんでいる部分はなかったという事実。それが事実であると突きつけられるところが悲しくもあり、おもしろかったです。

「こんなことを打ち明けるのは私にだけ」と思わせる男の人は多いと思います。それはとても甘やかで幸せな気持ちにさせると思います。でも、それは「私だけ」じゃないんですね。
幸か不幸か、私の場合はそうじゃないことを客観的に、かつ日常的に教えてもらったことがあります。だから、あとでがっかりすることはないけれど、一瞬の幸せも味わえないわけで、どっちがいいかはかなり微妙だと思います。

私はニシノユキヒコが好きです。どうこうなりたいとかじゃなくて、キャラクターとしてピカ一です。
でも、うかうかと近づいて、やっぱりねと思いながら離れるのもいいかもしれないです。
読んでいて楽しいから、当分の間、ちょくちょく読み返すと思います。


ニシノユキヒコの恋と冒険 (新潮文庫)
川上 弘美 / / 新潮社
ISBN : 4101292345
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by takibi-library | 2007-08-19 22:23 | いつも読書 | Comments(4)  

Commented by bara_aya at 2007-08-24 18:43
この本大好きです。
単行本を読んで、文庫になってから購入しました。
女性にだらしなさそうな甘やかな危険感を匂わせているのに憎めないニシノくん。
自分もであったらふらふらーっと引き寄せられてしまうかも・・・と思ってしまいました。
Commented by takibi-library at 2007-08-24 23:18
baraさん、コメントありがとうございます。
そう、ニシノくんに出会ったら、ふらふらーっとついて行きたくなりますよ。きっと。
Commented by ちあき at 2007-09-02 22:05 x
ニシノユキヒコ、私にはちょっと闇が深すぎるかな。本を読んでの印象なので、実際に関わったら興味深そうではあるけどね!
本としては楽しみました〜。
Commented by takibi-library at 2007-09-02 22:40
そうだね、川上弘美さんの文章はじとっとしているというか、そこのほうに澱がたまっている気配があることが多いからね。
江國さんがニシノユキヒコを描いたらどうなるんだろうとか、ちょっと思う。

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