「沈黙博物館」読了

今日から休み中に読んだ本について、せっせと書いていきます。
旅行中に思いのほか読書が進み、実家につく前に手持ちの本を読みつくしてしまいました。もう大失敗です(笑)。おかげでまた新しい作家さんの作品にチャレンジもできたので、よしとします。

ということで、まずは読みかけだった「沈黙博物館」。
読んでいてわくわくするとか、楽しいとか、そういう"興奮"はないのですが、なんだか先が気になりました。気になるからどんどん読み進めながら、このさき自分が望む満足な答えがなさそうな予感がつきまとう、不思議な気分がしていました。
この感覚は、たぶん「密やかな密室」を読んだときにもありましたが、今回の物語の舞台が、より私が暮している世界に近く感じる分だけ、先が気になる気持ちが寄り強かったように思います。

沈黙博物館とは、ある老婆が蒐集した形見を展示する博物館です。老婆が意味する形見とは、
その肉体が間違いなく存在しておったという証拠を、最も生々しく、最も忠実に記憶する品
です。そして、主人公の博物館技師は、老婆に代わって村の誰かが死ぬたびにその形見を集め(盗み)ます。

この設定自体を「異常」と決めてしまうこともできるのですが、老婆の形見に対する執着心にはなんとなく共感を覚えます。たぶん私も「この本はある人そのものなのだ」と曰くのついた本であれば、そして、その人のことを知っていればなおさら、その本を手に入れたいと思うでしょうし、そんな本であれば、私の好みではない本―たとえば辻何某の小説―であっても、きっと手放さず手元に置きつづけるはずです。

ところで、私の、老婆の意味するところの形見はなんでしょう。
本は何となく肉体とつながっていない気がするので、めがねか、ブックカバーかな、と思います。どれもいくつか種類がありますが。

沈黙博物館 (ちくま文庫)
小川 洋子 / / 筑摩書房
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by takibi-library | 2008-01-05 14:46 | いつも読書 | Comments(2)  

Commented by bara_aya at 2008-01-05 22:16
本や映画などでは一度読む度ずっと心に残るものとすぐに忘れちゃうものがあるのですが、この作品は明らかに前者でした。
読み手は主人公のように老婆に違和感を覚えつつもいつしか理解してしまうのでしょうね。
Commented by takibi-library at 2008-01-06 11:24
baraさん、たしかにこの本のことは私も忘れないと思います。
私に小川洋子さんの本を薦めてくれた人によると、小川さんは、ニューヨークで村上春樹さんの次くらいに人気がある日本人作家だそうです。この作品のように、どこでもない、でもどこかにありそうな世界は外国の人も入り込みやすいとか。

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