「薬指の標本」:もうひとつの話

この本にはもうひとつの話が収録されています。「六角形の小部屋」です。

「薬指の標本」より、私はこちらの作品の方が好きです。題名にもなっているこの小部屋が魅力的で、私も入ってみたくてたまりません。
主人公の毎日の暮らしの中にぽっかりと現れた小部屋。その"番人"である親子(母と息子)、小部屋に入りに来る人々、語られる話。
「薬指の標本」は私には切なすぎて、やや息苦しさがありましたが、「六角形の小部屋」は少しゆるんでいて―これは番人親子の母親のほう、ミドリさんの雰囲気によるところが大きいと思う―部屋にたどり着くまでのささやかな冒険にもウキウキしました。

読み終わったとき心が軽くなって、開けづらかった扉がすっと開けるような感じがします。
不思議だけどその不思議さがかけがえのない物語です。

薬指の標本 (新潮文庫)
小川 洋子 / / 新潮社
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by takibi-library | 2008-02-22 09:10 | いつも読書 | Comments(0)  

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