「駅前旅館」:粋でシャイ

井伏鱒二の「駅前旅館」を読んでいます。新潮文庫の復刻版です。

舞台は昭和30年代の上野。主人公は団体旅館の主人です。彼は女中部屋で寝起きしていた子供時代からずっと宿屋稼業で、表も裏も見尽くし、酸いも甘いも噛み分けた、といったやり手ふうです。
でも、実はけっこうロマンチストで、ちょっと縁のあった女性と再会したとたん、その人のことで頭がいっぱいになってしまったりします。出会いから何からひとつずつちまちまと思い出を並べて浸りきる様子は、なかなかかわいらしい・・・というか大丈夫か?と突っ込みたくなります。

そんな主人公ですが、仕事となると口八丁手八丁でお客を裁いていきます。同業者にだけ通じる符牒や、人間観察のポイントなど、旅館の主の豆知識も盛りだくさんで、単純な私は使ってみたくてたまりません。「ケタすみました」なんて。

登場人物が出揃ったところなので、粋でシャイな主人公たちに何が起こるのか楽しみです。


駅前旅館 改版 (新潮文庫 い 4-5)
井伏 鱒二 / / 新潮社
ISBN : 4101034052
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by takibi-library | 2008-03-04 19:38 | いつも読書 | Comments(0)  

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