「空中庭園」読了。

昨日、実家へ向かう電車の中で読み始めてから今夜までで読み終わりました。
私にとってははじめての、角田さんの小説です。

これまで何冊かの本に収録された角田さんの解説を読んで、ひとつふたつについては、その解説があることが理由で手元に置くことを決めた(売りに出さないことにした)ものもあります。そんな興味深い解説を書く角田さん、小説もきっとおもしろいに違いないと思いつつ、期待を裏切られるのがちょっと不安でなかなか本を買う勇気がわきませんでした。

でも、先日「古本道場」を読んで、すっかりその気になり、古本屋で状態のいいこの作品を見つけて即購入しました。

「空中庭園」はある団地に住む家族、夫婦と子供2人(姉と弟)と、夫の浮気相手、妻の母親、それぞれが一人称の6つの短編で構成されています。家族には“秘密を作らない”というルールがありながら、それぞれが大なり小なり秘密を持っている、という内容です。

読んでみて。
一気読みですから、当然おもしろかったです。構成もリアリティも、こっけいさもある種の“黒さ”もバランスよく含まれていたこと、6つの短編がゆるくつながってひとつのものが描き上げられるという作りが私の好みであること、この2点が大きなつぼでした。

6つの話の中では、弟・コウ君の視点の「光の、闇の」がいちばん好きです。
登場人物の中でも、この弟にいちばん興味を持ちました。”姉のいる弟”では、江國香織さんの「流しのしたの骨」に出てくる律(りつ)君を思い出します。コウ君、律君に共通する、家族を眺めるとき、冷めすぎていない冷静なまなざしを持っていて、その見方に共感します。ひとりで勝手にシンクロニシティを感じて、ドキドキしました。

おもしろかったので、明日からまたもう一度読んでしまいそうです。
まだ1作ですが、好きな作家は?と聞かれたら「角田光代さん」と答えそうな勢いかも。

空中庭園 (文春文庫)
角田 光代 / / 文藝春秋
ISBN : 4167672030
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余談ですが、以前読んだ穂村弘さんのエッセイに、穂村さんがお付き合いする女性は“姉”である人が圧倒的に多いという話がありました。それを読んだときに、わが身を振り返ると、社会人になってから親しくなったり、信頼を寄せるようになった人には“姉のいる弟”が多いことに気がつきました。

意外なところで特徴があるものです。
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by takibi-library | 2008-07-19 22:53 | いつも読書 | Comments(0)  

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