「のぼうの城」読了
2008年 10月 26日
戦国時代ものは興奮しますね。勇猛な武将、駆け抜ける騎馬、翻る軍旗、鬨の声。
わくわくも度が越えると、なぜかへらへらしはじめます。地下鉄の駅のエスカレーターで目を見開いて薄ら笑いを浮かべながら本を読みふける30女はかなりいかれた様だったと思います。(注:それはわかっているの、外ではしっかりあごを引いて、うつむいて読みます。)
この作品のおもしろさは、主人公をはじめとする成田家臣の武将たちが魅力的であるところです。
主人公、のぼう様こと成田長親はなんとも頼りなさそうですが、周囲の「世話を焼かせやがって!」という顔が微笑んでいることが何よりの強みです。
そして家老たち、丹波、和泉、靱負がそれぞれ際立った仁、勇、智の持ち主で、それぞれのやり方で鮮やかな戦ぶりを披露します。
彼ら以外も成田家臣は男も女も侠に生きるところが痛快です。
感銘を受けるとか、涙が止まらないとかじゃないけれど、読み終わったときの晴れ晴れとした気持ちは、本を読むことで得られる価値としてじゅうぶんだと思います。
私は好きです。こういう話。
のぼうの城
和田 竜 / / 小学館
この小説の底本(?)として、著者による「忍ぶの城」という脚本があって、それは城戸賞を取っているそうです。
しかしその情報がなくても、読みすすめるうちに自分なりにキャスティングしたくなります。とくに家老たちのかっこいいせりふや、身のこなしを実写で見ることを想像すると楽しくてたまりません。
by takibi-library | 2008-10-26 23:47 | いつも読書