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2014年5月のまとめ

5月はまるで読書が進まなかった。
選書作業で再読+飛ばし読みはしているので、本を読んでいる時間はやたら長いのに読んだ気がしないという悪循環。
そして、5月中に終わっていると思ったこの作業が、今もって継続中であることに疲弊している。

ふつうに本読みたい。往来堂へ行きたい。


■生活全般
・某選書+引用+レビュー書きの仕事を受注
・水戸/日立日帰り旅行

■読んだ本

・戸惑う窓
・孤独と不安のレッスン
・子供のための哲学対話
・八番筋カウンシル

「戸惑う窓」、堀江敏幸さんの文章は相変わらずそこはかとない色気がよかった。これを読んですぐだったせいかバルデュスの窓の絵がとても気に入った。
「不安と孤独~」は海猫沢めろんさんの選書リストで見つけて読んでみたのだけど、「名著」と評されていたとおりだった。ありきたりな自己啓発本とは一線を画す、ほんとうにこの本が必要な人がきっといる一冊。機会を見つけて若い人に贈りたい。
「子どものための~」は前から読みたいと思っていて、選書の仕事にも合いそうだったのでそれを機に。思ったとおり、いい言葉がたくさん。気づきが多い内容もよかった。
「八番筋~」、津村記久子さんはもはやわたしにとっては鉄板。今回も期待以上だった。生きていくこと、働くことの、不自由さ、ままならなさが共感と切なさを誘う。そこで何とかもがいて、ふと自由や将来への期待をほんのひととき感じることが幸せというものではないかと思った。

戸惑う窓

堀江 敏幸 / 中央公論新社


孤独と不安のレッスン (だいわ文庫)

鴻上 尚史 / 大和書房


子どものための哲学対話 (講談社文庫)

永井 均 / 講談社


八番筋カウンシル (朝日文庫)

津村記久子 / 朝日新聞出版



■その他のインプット

・赤松陽構造と映画タイトルデザインの世界
・朝日カルチャーセンター「未完の憲法」講師:木村草太
・バルデュス展
・拡張するファッション展
・映画「風の歌を聴け」
・ライブ「極東ロックンロール・ハイスクール 第弍章 サンボマスター vs 氣志團 極悪さんぼ~美しくない人間たちの日々~」
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by takibi-library | 2014-06-07 12:13 | いつも読書 | Comments(0)  

2014年4月のまとめ


■生活全般
・消費税率改定(4/1~)
・文庫本葉書デザイン変更(ゆうメール価格改定に伴う。210→215)
・中島みゆき計画始動
・横浜/鎌倉日帰り買いもの旅行
・休暇(4/26-30)


■読んだ本
ヤンキー経済
ヤンキー化する日本
銀座ウエストの秘密
異形の白昼
食い意地クン
女のいない男たち
世界が土曜の夜の夢なら

突如ヤンキーブーム。3冊、新しい順に読んでしまったけれど、3冊目(世界が~)だけでよかったような。
「銀座ウエスト~」は期待以上だった。トリビア的なものが控えめで、ウエストの社是「真摯」そのものと感じた。買わなくていいかなと思っていたけれど、読んでよかった。
「異形~」「食い意地~」は冬のD坂文庫で買ってようやく読めた。「異形~」は恐怖のスペシャリスト・往来堂のOさんが推すだけあって、こわかった。夜読まなくてよかった。反対に「食い意地~」はひたすら楽しい。読むとストレートに食欲が刺激される。サンドイッチとか、とんかつとか、実際食べた。
村上春樹さんの新作短編集はよかった。おもしろかった。個人的に「ノルウェイ~」以降は短編のほうがよいと思っていて、今回もその思いをあらたにした。

ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体 (幻冬舎新書)

原田 曜平 / 幻冬舎


ヤンキー化する日本 (角川oneテーマ21)

斎藤 環 / KADOKAWA/角川書店


銀座ウエストのひみつ

木村衣有子 / 京阪神Lマガジン


異形の白昼 恐怖小説集 (ちくま文庫)

筑摩書房


食い意地クン (新潮文庫)

久住 昌之 / 新潮社


女のいない男たち

村上 春樹 / 文藝春秋


世界が土曜の夜の夢なら ヤンキーと精神分析

斎藤 環 / 角川書店(角川グループパブリッシング)



■その他のインプット
・いのうえ歌舞伎「蒼の乱」
・野口哲哉展-野口哲哉の武者分類図鑑-
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by takibi-library | 2014-05-03 19:45 | いつも読書 | Comments(0)  

2014年3月のまとめ

上旬は仙台。仙台の浮かれ気分を引きずったまま消費税対応をしていたら、あっというまに終わってしまった感じの3月でした。


■生活全般

友だちに東京を案内(5日)
仙台へ行く(6~7日)
これからのことを考える(18日)
食事会にお呼ばれ(19日)
西荻窪・くしまへ行く(29日)

■読んだ本

銭の戦争 第四巻
良心をもたない人たち
ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか
荒野の古本屋
暇と退屈の倫理学
ちいさこべえ さん

めずらしく小説が少ない。
「銭の戦争」はもう、言うことなし。早く既刊の第五巻を買わなくては。
「良心を~」はSNSで知ってなんとなく図書館で借りてみた。この手のサイコパスはアメリカと比べて、日本を含めた東アジアには少ないそう。ほっとするものの、マイルドなタイプには会ったことがありそうな気がする。「ネルソンさん~」はベトナム帰還兵の体験談。言葉が平易で読みやすい。けれども語られる内容にはつい歯を食いしばってしまう。考えさせられる、どころではない。嫌悪感を忘れないようにしたい。
「荒野の~」は今月のベストで、今年の3冊候補になりそう。読んでいて楽しかった。著者の森岡さんと面識があることがよいほうに影響したと思う。読んですぐ、サンタ・マリア・ノヴェッラのポプリを買ってしまった。
著者と面識があるというのではないけれど、講演を聞きにいって話している姿や声の印象がしっかり入っているのが「暇と退屈の~」の國分先生。見開き2ページに傍点がないことがない、というハイテンションな文章。傍点部分が頭の中で逐一音声化されるので、読むのに体力がいる。おもしろかったけど、時間がかかった。ふー、やれやれ。
「ちいさこべえ」は山本周五郎の原作を望月ミネタロウが現代を舞台に漫画化したもの。望月ミネタロウはそんなに気にしてこなかったけど、これを読んでみて、この人の絵が好きだと気がついた。お話はわたしにとっては鉄板なので、安心して次を待っている。

銭の戦争 第4巻 闇の帝王 (ハルキ文庫 は 11-4)

波多野 聖 / 角川春樹事務所


良心をもたない人たち―25人に1人という恐怖

マーサ スタウト / 草思社


「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?」 ベトナム帰還兵が語る「ほんとうの戦争」 (講談社文庫)

アレン・ネルソン / 講談社


荒野の古本屋 (就職しないで生きるには21)

森岡 督行 / 晶文社


暇と退屈の倫理学

國分 功一郎 / 朝日出版社


ちいさこべえ 3 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)

望月 ミネタロウ / 小学館



■その他のインプット

宗像窯 宗像利訓個展
妄想ロックフェス in 西池
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by takibi-library | 2014-04-02 22:08 | いつも読書 | Comments(0)  

2014年2月のまとめ

2月は「矢の如し」でした。
インフルエンザによる停滞をを1か月かけて調整、解消させて終わった感じです。今日から仙台での文庫本画廊の展示・販売がはじまるので、気分も新たに、平常運転で進んでいこうと思います。

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■生活全般

インフルエンザが治る
往来堂書店のD坂文庫フェア(7日~)
大雪(8日)
東京都知事選挙(9日)
二度目の大雪(14・15日)
日本橋三越での文庫本葉書・画廊の販売(19日~)
春のような日(28日)

■読んだ本

通勤電車で読む詩集
雪の断章
あまからカルテット
英国男子
10品でわかる日本料理 
本日は、お日柄もよく
続 長尾智子の料理1,2,3

「通勤電車~」は古本で見つけて積読だったもの。今は通勤電車に乗っていないので昼休みに少しずつ読んだけど、死を読むハードルは確実に下がったと思う。
往来堂書店のD坂文庫から3冊。「雪の断章」「あまから~」「本日は~」。この3つでは「雪の断章」が圧勝。比べちゃいけないね、ってくらい。読むなら寒いうち。桜が気になりだしたら次の冬まで待つべし。考えさせられたのは「本日は~」。スピーチライターという仕事にスポットを当てたことはすばらしいけれど、選挙(あるいは政治)に広告代理店が入り込むことについて作者はどう考えているのかが気になった。作品を読むだけではそのことについて何も考えていないという印象があって、個人的にはもやっとしている。
「英国男子」は「A single man」という映画の存在を知ることができたことで元を取れたんじゃないかと思う(まだ見てないけど)。
「10品でわかる~」内容は期待以上だった。とてもおもしろい。外国からのお客様をそれなりの格式のある料亭などへ案内することがある方にはぜひ一読してほしい……のだけど、デザインが残念。いちいち書くとここまでの文章と同じくらいの行数になると思う。こだわりがあったようだけど、新書で出して広く読まれるほうが、この本の活躍の場が広がりそう。
長尾智子さんの食エッセイはどうしてこんなにもちょうどいいのだろう。深くて、重すぎなくて、ちょっと偏屈なところも共感できる。ほれた弱みか。「暮しの手帖」での連載が長く続きますように。

通勤電車でよむ詩集 (生活人新書)

小池 昌代 / 日本放送出版協会


雪の断章 (創元推理文庫)

佐々木 丸美 / 東京創元社


あまからカルテット (文春文庫)

柚木 麻子 / 文藝春秋


英国男子 [雑誌]EYESCREAM2014年3月号増刊

スペースシャワーネットワーク


10品でわかる日本料理

髙橋 拓児 / 日本経済新聞出版社


本日は、お日柄もよく (徳間文庫)

原田マハ / 徳間書店


続 長尾智子の料理1,2,3

長尾智子 / 暮しの手帖社



■その他のインプット

展覧会: 星を賣る店 クラフト・エヴィング商會のおかしな展覧会
トークショー: おかしなトークショー
         岸本佐知子×古屋美登里×クラフト・エヴィング商會(吉田浩美・吉田篤弘)
展覧会: 「仕事の”合間”に雑誌をつくりました展」
芝居「もっと泣いてよフラッパー」
芝居「Paco~パコと魔法の絵本~」
映画「小さいおうち」
映画「アイム・ソー・エキサイテッド」
展覧会: 佐藤純子「海の匂いを聴いた夜から 一年のまとめ展」
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by takibi-library | 2014-03-01 12:05 | いつも読書 | Comments(0)  

2014年1月のまとめ

ブログを1年以上更新していませんでした。
とくに理由、生活の変化などはなく、単にTwitterとFacebookに加えてブログに何か書くのが面倒だったからです。
けれどもこの年末に、もっと面倒なことがありました。それは、2013年に読んだ本が把握できなかったことです。

以前、このブログをそれなりに更新していた頃は、本を紹介するたびに、このブログサービスの「ライフログ」という機能で読んだ本が自然にまとめられていました。
このまとめられた情報が年末にないのが、こんなに面倒だったとは。

ということで、今年は心を入れ替えて、1か月を振り返ることをしようと思います。

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■生活全般

正月休み
月末にインフルエンザにかかる

■読んだ本(☆=2014年の3冊候補)

冬のフロスト(上・下)
銭の戦争(第二・三巻) ☆
気ぬけごはん
問いのない答え ☆
模倣の殺意(再読)
乙嫁語り(6巻)

「銭の戦争」、「乙嫁語り」は安定感抜群。これからも期待。
あれ?と思ったのはフロスト警部。今回のはちょっと後味が悪かった。残虐さがわたしには過剰だったみたい。リズ(同僚の女性刑事)をあそこまで痛めつける必要はないと思う(→亡き作者へ)。
「気ぬけごはん」は、日々の食事の支度がどうしてもできないときってあるよね、と共感してくれる(と感じる)内容。すごく楽しいのではなく、マイナスをゼロに持ち上げてくれる楽しさ。
「問いのない答え」。不思議な本。ニュートラルに進む中で、時折ひたひたと胸に迫るものがある(そしてすっと引いていく)。寝る前に少しずつ読み進めたのだけど、一気読みのほうがよかったか。少し間を開けて、時間を取って読み直す。

冬のフロスト<上> (創元推理文庫)

R・D・ウィングフィールド / 東京創元社


冬のフロスト<下> (創元推理文庫)

R・D・ウィングフィールド / 東京創元社


銭の戦争 第二巻 北浜の悪党たち

波多野 聖 / 角川春樹事務所


銭の戦争 3 天国と地獄 (ハルキ文庫)

波多野 聖 / 角川春樹事務所


気ぬけごはん

高山なおみ / 暮しの手帖社


問いのない答え

長嶋 有 / 文藝春秋


模倣の殺意 (創元推理文庫)

中町 信 / 東京創元社


乙嫁語り 6巻 (ビームコミックス)

森 薫 / KADOKAWA/エンターブレイン


■その他のインプット

映画: 「ビフォア・ミッドナイト」
芝居: 「太鼓たたいて笛ふいて」
講演: 「民主主義と憲法-秘密保護法を考える」
     (高崎経済大准教授・國分功一郎/首都大学東京准教授・木村草太)
トークショー: 山口晃新春講演会
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by takibi-library | 2014-02-09 21:11 | いつも読書 | Comments(0)  

寂聴とハイスミス

あ~、またもずいぶん間が空いてしまいました。
多いときは週に2冊くらいのペースでいろいろ読んできたのですが、今回はこれから読む本の話を。

往来堂書店では夏と冬に「D坂文庫」という文庫フェアを開催します。
わたしはこれまで読まずにきた作家さんの作品をこのフェアで見つけたら、買って読んでみるように心がけていて、今回は、瀬戸内寂聴とパトリシア・ハイスミスに挑戦です。
あと、名作の復刻という「俳優パズル」も買いました。ミステリー。とてもおもしろそう。

目標としては12/14までに読みたくて、今月いっぱいは包みが忙しいので少しずつ、ひと段落したらがつがつ読もうと思います。
上記3冊の間に、ル・カレの「ティンカー・テイラー・ソルジャー・スパイ」も読みたい。この本を映画化した「裏切りのサーカス」の上映が都内であることがわかったので、読む前に見るか(キャストを思い浮かべながら読むのも楽しそうだから)。

時間が……うぅ。

(今、ちょっと調べたら、「俳優パズル」はパズル・シリーズの2作目で……1作目から読むべき?! あぁっ!)
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by takibi-library | 2012-11-24 23:19 | いつも読書 | Comments(0)  

「追想五断章」読了

続けざまに米澤穂信です。けっこうはまってて、文庫本葉書の材料仕入れのときに見つけると、均一じゃなくても買っちゃいます(個人蔵書として!)

主人公・芳光は、経済的な事情で大学を休学し、叔父の営む古書店に店番を手伝いつつ居候しています。
自分の境遇を嘆くでも、社会を恨むでもなく、淡々とした暮らしぶりのなかで、いつか大学に戻りたいと切望しています。そこに「父の文章が掲載された雑誌を探している」という女性客がやってきて、はじめは報酬目当てでその仕事を受けるのですが、思いがけず複雑な事情に接することとなり、迷いながらも真相に迫っていく物語です。

依頼主の探す文章は5つのリドルストーリーです。しかし、書き手である彼女の父親はそれぞれに書かれなかった最後の1文を残していて、組み合わせることで浮かび上がる事実を追うのが、謎解きの大雑把な筋です。

ミステリとしてどうかはわからないのですが、芳光の心境の変化が物語としておもしろかったです。
お金がほしいこと、叔父、母との関係、謎への好奇心、すべてに対する不安、冷めているようでどろどろした思いや、かっかする熱っぽさをちゃんと持っている、探偵役でありながらとても生々しい存在でした。

もしこれを芳光と同じ年頃で読んでいたらどう感じたかな、昔の自分に読ませてみたいような気がします。
(でも、今とはだいぶ社会情勢が違うからな……なにせ20年くらい前だから・笑。)

追想五断章 (集英社文庫)

米澤 穂信 / 集英社


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by takibi-library | 2012-09-09 22:49 | いつも読書 | Comments(0)  

「犬はどこだ」読了

感想UPがんばろうキャンペーン継続中。

探偵ものが好きです(本気のミステリファンでもないです)。
でも、探偵ものなら何でもいいのではなくて、たいていの人がそうだと思うけれど、その探偵が好きになれるか、彼(彼女)のあとを追いかけたくなるかで、その作品やシリーズが気に入るかが決まります。

好きな探偵さんを見つけると、とてもうれしくなりますが、最近の作品をちゃんとチェックしていないせいもあって、まだ生きている作家の描く、同じ時代を生きていける「好きな探偵」がいませんでした。

でした。

というのも、これから追いかけてもいいかもしれない探偵を見つけたのです。ついに。
それがこの「犬はどこだ」の主人公、紺屋長一郎、25歳。
この物語は、彼が半ばなしくずし的に探偵事務所を開業するところからはじまる、シリーズ第一作です。

訳あって、希望して入った銀行を退職し、犬探し専門の探偵事務所「紺屋S&R(サーチ&レスキュー)」をはじめたつもりが、いきなり人探しを頼まれ、探偵業に猛烈に憧れている後輩が転がり込み、今度は別の古文書の解読の相談を受け……と、紺屋くん(と、呼ぼうと決めた)の「ぼちぼち」気分をよそに、どんどん物事が進んでいきます。
けれども、たぶんもともと真面目なんでしょうね、ちゃんと物事の進みに追いついていくし、追い越そうとする。そのギアの入った瞬間に、探偵として目覚める。その瞬間を読むことができたのが、本当に楽しかったし、なんだかうれしかったです。

久しぶりに「ページを繰る手を誰か止めてください!」と思うほど、読みふけってしまいました。
だから、解説の「続編も予定されている」という言葉に大興奮。調べてみるとどうやらそう遠くはなさそうなので、今から楽しみでなりません。

続編が出たら、単行本で買いますよ、もちろん。

犬はどこだ (創元推理文庫)

米澤 穂信 / 東京創元社


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by takibi-library | 2012-09-08 21:52 | いつも読書 | Comments(0)  

「珈琲とエクレアと詩人」読了

読み終わった本はいっぱいあって。これから少しずつ読書感想をUPしていきます。

エクレアが好きです。シュークリームも好きですが、エクレアも作っているお店はシュークリームほど多くなくて、見つけるとうれしくなります。
ウエストの、いかにもシュークリームの変形みたいなものも、ブーランジュリーのきつね色に焼いたしっかりした歯ごたえのものも、エクレアと名前がついていればそれでいいんです。

そんなわけで、往来堂の棚に「珈琲とエクレア」という文字列を見つけたとき、ケーキのショーケースに「エクレア」の札が並んでいるようにうれしくて、思わず手に取ってしまいました。
中身がどうとかではなく、「詩人」はとりあえず置いておいて、「珈琲とエクレア」で、買い。

でも、この本は「詩人」の話。

わたしにとって詩人は遠い存在で、それに対して、少し偏見を持っています。いろいろ変わっているだろうとか、生活能力がなさそうとか。
この本で描かれている北村太郎さんも、そんな偏見を払しょくするタイプではなく、親友の妻と同棲してして、ふたりして少し心が弱く、身体も弱く(年齢的なものもある)、そのために家事が行き届かなくて家の中が不衛生になってしまうことがあります。
そして、そういうことはわたしにはいささか不快で、あまり見たくなくて、楽しく読めるものではありません。ふだんは。

でも、読んでいていやな感じはしませんでした。
静かな物語ですが、いやな感じがしないという事実はわたしにとって衝撃でした。

それはひとえに、著者の橋口さんの語り口のおかげだと思います。
大切な友人の話を聞かせる、そういう語り口。わたしは橋口さんの知り合いでもなんでもないけれど、その場で「あなたの友だち」の話を聞いているから、目の前の人も含めた近しさが、わたしの中の偏見という一般論が入るすきを作らなかったのだと思います。

この本の持つ親密な空気は、これからも何かにつけわたしをなぐさめてくれるでしょう。
くいしんぼうの気質で衝動買いした本でしたが、思いがけず大切なものになりました。よかった。

珈琲とエクレアと詩人 スケッチ・北村太郎

橋口幸子 / 港の人


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by takibi-library | 2012-09-07 08:35 | いつも読書 | Comments(0)  

鴻上尚史さんの「ごあいさつ」

昨日は「音楽劇 リンダリンダ」を見てきました。

鴻上尚史さんのお芝居を観るのは2001年の第三舞台封印公演以来だと思います。お芝居そのものも楽しみでしたが、個人的にはチラシやアンケートと一緒に配られる「ごあいさつ」を読めることがとてもうれしかったです。

「ごあいさつ」はB5のノートの見開き2ページに手書きでつづられた文章です。相変わらずのB5、相変わらずの文字(そういえば台本はいまだにB5で残っているもののひとつ)。
内容は演目に関係があったりなかったり。いつも共通しているのは、はっと、強いインパクトを持って気づかされることがある、という点です(わたしの場合)。

今回は、「酒に酔って、以前演劇を通じて交流のあった若者たちの消息をインターネットで検索してしまう」という話でした。
こういう時、インターネットが人間の感性を変えたとしみじみします。それぞれの人生の今を、こんなに簡単に知ってしまうことは、直感でしかないのですが、僕の人生そのものに決してよくはないだろうと思います。
誰かの人生を知るには、インターネットのない時代は、自分の今と引き換えが条件でした。
(略)
けれどインターネットは、こっちの人生をまったく提出しないまま、相手の現在を知ることができるのです。

わたしはこれを読んで、がっくりと気落ちしました。漠然とした影としか見えていなかった違和感の正体を見せられたからです。
わたしは何も提出していないかもしれない。いろいろなことをただ乗りしているかもしれない。

こういうふうに、もやもやとした像を言葉に落とし込んでくれる、あるいはお芝居として目に見える形にしてくれることを才能というのだと思います。
鴻上さんがこれまでに書いた「ごあいさつ」をまとめた本があったらいいのに。

と思って調べたらありました。まさにそのまま「鴻上尚史のごあいさつ」。これから往来堂さんへメールします!
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by takibi-library | 2012-07-15 13:03 | いつも読書 | Comments(0)