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なぞのケーキ、「トロンコ」

「トロンコ」。丸木をかたどったケーキの名前です。

昭和35年初版の「家庭でできる和洋菓子」(婦人之友社)に「トロンコ」の作り方が載っているのですが、この、母が結婚した頃に買い求めた本以外で「トロンコ」の名を見たことはありません。
わたし自身が中学生か高校生になると、「ビュッシュ・ド・ノエル」という言葉を覚えて、丸木の形をしたケーキの名前として呼び習わしてきました。

今年のはじめ、空想製本屋さんの製本教室で、母が使い込んで、わたしがらくがきをしたこの本を糸とじ、布張りで製本したのですが、そこでも教室のみんなで「トロンコって?」と話しました。
それでも、あえて探究心を持たず、へんなの、と思って過ごしてきたのですが、思いがけずヒントが舞い込んできたのです。

ある宅配ピザのお店のクリスマスメニューのチラシに「Tronco di natale」というロールケーキが出ていたのです。しかし、残念なことに、写真を見る限り、フルーツをちりばめてあるものの、どう見てもふつうのロールケーキで、丸木らしさはこれっぽっちもありません。

トロンコとはロールケーキのこと?

どうもすっきりしないものの、イタリア語にはtroncoという単語がある、ということがわかったので、わかりそうなNさんにこっそり質問したところ、伊英辞典で調べてくれました。

tronco=trunk

つまり、木の幹!やはり、そうだったのか!

結局のところ、tronco di nataleは、フランス語だとbûche de Noëlになるわけで、みんなクリスマスの薪ということなのでした。

でも、昭和30年代に、なぜイタリア語の名前をつけたのだろう。
ほかには「ロシア菓子(一)」(三まである)みたいな、工夫のない名前もついているのに、トロンコだけ、イタリア語。

意味はわかったけれど、不思議な感じはまったく抜けないのでした。
でも、なんか楽しかったから、よしとする。

by takibi-library | 2011-12-08 21:12 | くらし  

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