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「四捨五入殺人事件」読了

先日マッサージに行ったときに、途中の古本屋に寄って見つけた本です。
そのお店で以前目をつけていた堀江敏幸さんの本はやっぱりなくなっていて、タイミングを逃してはいけないという教訓のもと、安野光雅さんによるカバー画の魅力だけで買ってしまいました。ライフログ(Amazon)に画像がないのが残念でなりません。

舞台は東北の貧しい農村にある、一応その村ではいちばん格式の高い旅館です。
ミステリですが、その舞台設定ゆえかスリルが控えめ。どこかのんびりした雰囲気でありながら、確実に手がかりらしきものの気配が徐々に感じられて、事件の核心に迫っていく緊張感もある、不思議な作品です。

そして、事件そのものよりも今の私たちが読んで、はっと思うところは、日本の農業政策とその結果としての農村のありようについて語られるところです。この作品は、ミステリーであると同時に、日本における農業問題について、深く切り込んでいるのが特徴です。これは、井上ひさしさんらしさ、だと思いました。

大当たりの衝動買い。

四捨五入殺人事件
井上 ひさし / / 新潮社
ISBN : 410116813X

by takibi-library | 2008-02-04 19:42 | いつも読書  

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