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「熊の敷石」:なんとなく、の感覚

ちょっと間がありましたが、堀江さんの本です。

主人公(日本人)はフランスで古くからの友だちであるヤン(ユダヤ人)と再会します。近況報告や思い出話に花を咲かせるうちに、ホテルには戻らず、ヤンの家に滞在することになる、というお話です。
私は他人と交わるとき、その人物と「なんとなく」という感覚に基づく相互の理解が得られるか否かを判断し、呼吸があわなかった場合には、おそらくは自分にとって本当に必要な人間ではないとして、徐々に遠ざけてしまうのが常だった。
「なんとなく」は理屈ではないから、何かについてそれを理由にすると「答えになっていない」と言う人がいます。私もそう不満に思うときがありますが、「なんとなく」でわかるときもあります。よく考えてみると、不満に思うときの相手とはお互いの感覚に、決定的にずれているポイントがあったのだとわかります。

「なんとなく」は使いすぎてはいけないけれど、その相手とつながれるかどうかの決め手になるひとことかもしれません。

熊の敷石 (講談社文庫)
堀江 敏幸 / / 講談社
ISBN : 4062739585

by takibi-library | 2008-05-05 09:06 | いつも読書  

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