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「ウェイクフィールド/ウェイクフィールドの妻」:おもしろい!

ニューヨークの前にロンドンです(作者はアメリカ人ですが)。図書館で借りました。
ホーソーンの短編「ウェイクフィールド」と、後世の作家が書いたそのウェイクフィールドの妻の物語が合わさった1冊です。

ボルヘスが激賞したという「ウェイクフィールド」は、たいへん不思議な魅力があります。
ある妻と二人暮らしのウェイクフィールド氏が、ふつうに出張に出かけてから、20年後に何事もなかったかのように帰宅する話です。
よくわからないことだらけなのですが、わからないことが不愉快でないし、不思議な納得感、読後のカタルシスがあります。ありえないような話に、これほどの必然さを染み込ませることが、どうしてできるのか。それもこんな短い物語で。

そして、その簡素さを補うような妻の物語。今はこちらを読んでいます。
こちらはそれなりのボリュームがありますが、冗長な印象は受けません。夫が戻ってこないだろうと気づいた妻は、おそるおそる次の1歩を踏み出すように日々を過ごすのですが、それでも時間の流れは一定であることがわかる、ほどよい緊張感があります。

おもしろい。たぶん読み終わったら買いたくなります。でも、絶版。
行きつけの古本屋さんに頼むつもり。

ウェイクフィールド / ウェイクフィールドの妻
N・ホーソーン / / 新潮社
ISBN : 410544901X

by takibi-library | 2008-05-20 21:48 | いつも読書  

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