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「誠実な詐欺師」読了

すごい、と思いました。

絵本画家の老女・アンナと、彼女の家に居候する、弟思いの少女カトリ。年の離れた二人の女性のやりとりが、ファンタジックな村の風景の中に描かれていました。

弟のために覚悟を決めて慎重に進めた計画によって、思わぬ方向へアンナを追い詰めてしまったカトリ自身もまた、心が砕けるような喪失感を味わいます。それが明らかになったアンナとカトリの最後の会話は緊迫したものでした。本ですから後戻りして読み返すのは勝手なのに、ひとつひとつの台詞を逃さぬように、二人芝居をじっと見つめるように読みすすめていました。

この張りつめた雰囲気は、無駄のない簡潔な文章によるところも大きいと思います。そのくらいくどくどとした言い回しはなく、そっけなく、さらりと語られるのですが、そのぶんだけすべてが容赦なくくっきりと目の前にさらされるような、ひりひりする感じがあります。

ヤンソンの作品、もっと読みたいです。

誠実な詐欺師 (ちくま文庫)
トーベ・ヤンソン / / 筑摩書房

by takibi-library | 2008-11-25 20:10 | いつも読書  

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