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「フローラ逍遙」読了

往来堂書店で配られている「往来っ子新聞」をご存知でしょうか。その1コーナーに「地味売良品(じみうれりょうひん)」というのがあり、この「フローラ逍遙」も紹介されました。

それ以前に「ここち」で紹介もしているのですが、地元の図書館になくて、私自身は未読のままだったので、先日往来堂へ行ったときに、(もちろん)平積みになっているところを買い求めました。

「フローラ逍遙」は、こんな本です。
澁澤家に咲く25種の花にまつわるエッセイ集。東西の植物画からなるカラー図版、八坂安守さんによる詳細な解説など、美しく贅沢な一冊です。近づけてみると、花のいい匂いが香る気がします。
こちらは平凡社ライブラリーですが、絶版になってしまった函入の単行本も贈りものにしたいくらい、とっても素敵。古書での相場は2500円前後。すぐに売れちゃう一冊なのですって。(「往来っ子新聞 第3号)
読み終わって・・・評判どおりです。博物学的でもあり、文学的でもあるエッセイのせいか、ひとつひとつの植物画がみずみずしく感じられました。
読みものとしてよし、表紙の椿の絵を眺めるだけでもよし。手の届くところに1冊あるときっとうれしい本だと思います。正直、函入がほしい(笑)。

先日読んだ「家守綺譚」に続き、本で読む植物にすっかりまいっています。

フローラ逍遙 (平凡社ライブラリー)

澁澤 龍彦 / 平凡社


by takibi-library | 2009-07-10 15:20 | いつも読書 | Comments(4)  

「回送電車」読了

いろいろな本に寄り道しつつ読んでいたので、読みはじめたときからはすっかり季節が変わってしまいました。でも、この散文集の魅力はそんなゆるみにはびくともしないし、ぽつぽつと読み進めることで、作者とときどき会って話を聞いているような気分になります。

フランス文学の話になると、知らない書名、作家名にぽかんとします。
古い日本の小説の話のときは、今度古本屋で探そうとメモを取ります。
妄想話のときはちょっとあきれたり、またはそうそう!とうなずきます。

こんな調子です。

ところで、この本の中でいちばん興味深かったのは、堀江さんの「郊外へ」がUブックスになったときのエピソードです。
Uブックス版の「郊外へ」の表紙には松本竣介の「クレーンのある風景」という絵が使われています。私が堀江敏幸という名前を気に留めたのは、まさにこれが理由でした。
松本竣介の絵は、辻邦生さんの「ある生涯の七つの場所」中公文庫版の表紙に使われていたことで知りました。ちょうどそれを読んでいる間に練馬区立美術館で回顧展があり、そのめぐり合わせは今でも思い出すと幸せな気分になる思い出です。
それからだいぶ経ってから、松本竣介の絵を表紙に使った別の本を見つけました。それが「郊外へ」だったのです。
どうしてこの表紙に松本竣介の絵を選んだのか、という話にはまだめぐり合わせの魔法が続いているようで、わくわくしました。次も、その次も、何かにつながっていきそうです。

でも、実をいうと「郊外へ」は未読なのです。入手もしていません。
そろそろ買ってもいいかな(笑)。

回送電車 (中公文庫)

堀江 敏幸 / 中央公論新社


by takibi-library | 2009-04-16 14:45 | いつも読書 | Comments(0)  

「おいしい人間」読了

高峰秀子さんのエッセイは、ちゃきちゃきとした語り口で読んでいて気分がいいです。

映画女優としての経歴をひけらかすことはなく、またそれに不必要に触れないのでもない、ほどほどの加減でエピソードが紹介されます。
今回はとくに「人間」を見つめた話が多いので、私なんかと同じ目線だと思わせる親しみやすさと、多くの人と接してきた経験に裏打ちされた的確な分析の鋭さ、どちらも強く感じました。

いちばん笑ってしまったのは、「花柳ゴジラ」と「伊東ラドン」。それぞれ、新派の名女形、花柳章太郎と、日本画の重鎮、伊東深水のことです。パリで、高峰さんと夫の松山さんが、ふたりの自由奔放なリクエストにきりきり舞いするうちに、こっそりそう呼んでいた話です。
ゴジラにラドンですよ。あまりのビッグネームにわらっていいのかと思いつつニヤニヤしてしまいます。ほんとうに怪獣の振る舞いですから。

高峰さんのエッセイは、必読の名著!という本ではないけれど、こちらのコンディションに関わらずすっと入ってくる、まちがいのないところが魅力です。
日々の暮らしでほっと一息つくにはもってこい。

おいしい人間 (文春文庫)

高峰 秀子 / 文芸春秋


by takibi-library | 2009-03-07 20:22 | いつも読書 | Comments(0)  

「おいしい人間」:旅の供

一泊温泉旅行の供は、高峰秀子さんの「おいしい人間」にしました。高峰さんのエッセイのおもしろさは安全確実ですし、この本はほどほどの分量のいろいろな話が詰まっています。ちょっとした移動の間に読むにはちょうどいいのです。

この旅行の間に半分くらいまで読みました。そしておどろいたことに、タイトルになっているお話「おいしい人間」で登場するのは、何度か行ったことのある中華料理店のご主人でした。小さなお店ですが、おまかせで出てくる料理がどれもこれもおいしい。親しみやすいようで、ちゃんと手がかかっているに違いない味。けして高級店ではないので、私の身の丈に合ったぜいたくができます。

あの店に高峰さんも行ったことがあるのだ。
私にとって高峰さんは女優というよりエッセイストですが、ミーハーなよろこびにうっとりします。久しぶりにあの中華料理店に行きたい気持ちでいっぱいです。

おいしい人間 (文春文庫)

高峰 秀子 / 文芸春秋


by takibi-library | 2009-03-01 17:18 | いつも読書 | Comments(0)  

「いしいしんじのごはん日記」について、重大な見落としが。

ときどき、家で本の立ち読みをします。
■立ち読みの手順
①ベッドの端に腰掛けて、既読本の入った本棚をしげしげと眺める
②なんとなく気になったものを立ち上がって取る
③そのまま読む
④ガッツリ読みたくなったら、ベッドに戻る
おとといも立ち読みをしました。読み終わってそんなに経っていない「いしいしんじのごはん日記」です。
何となく開いたところを読んでいたら、驚きました。最初に読んだときにはまったく気づいていなかった、興味深い記述があったのです。
高島屋のユニクロの真向かいの、桂屋という純和風旅館にチェックイン、それから中華料理屋さんで打ち合わせ。
桂屋!!
新宿で働いていた頃、あまりに異質な佇まいに、同期の友だちと「一度入ってみたいものだ」と話していたんです。

桂屋!!
今思い返してみると、井伏鱒二の「駅前旅館」のイメージに近い気が。ばっちり駅前だし。番頭さんとかいそうだし。

そうか、いしいさんは泊まったことがあるのか(ぜんそくが出てさんざんだったらしいけど)。どうして気づかなかったんだろう。あんなに気になっていた桂屋が出てきたというのに・・・人間ってわからないものです。

いしいしんじのごはん日記 (新潮文庫)

いしい しんじ / 新潮社


by takibi-library | 2009-02-22 11:35 | いつも読書 | Comments(0)  

「回送電車」:やっぱりいいです。

買ったきり読んでいなかった、堀江敏幸さんの「回送電車」を読みはじめました。

そういう本ではまったくないのですが、堀江さんの文章にはどうもうっすらと色っぽい雰囲気があります。どきどきはしないのですが、ぬくぬくした二度寝のふとんの中みたいです。難しい漢字がちょくちょく出てきますが、それもまた楽しいです。

短い散文がまとめられた本なので、少しずつ寝しなに読むことにします。このところは「春の戴冠」を読んでいましたが、こちらは昼用にコンバージョン。


回送電車 (中公文庫)

堀江 敏幸 / 中央公論新社


by takibi-library | 2009-02-20 20:21 | いつも読書 | Comments(0)  

「「きょうの料理」のヒミツ」:読み応えあり

やっと本格的に読みはじめた、後藤さんの本。
読んでわかったのは、長寿番組「きょうの料理」についての本であるということ。それについて後藤さんがまとめてくれたり、これまでに登場した先生方の人となりや思い出話などを披露したりいます。

しかし、やっぱりいちばんおもしろいのは後藤さん自身についての話です。後藤さんには各界のみなさんが注目しているらしく、たとえば、東海林さだお×赤瀬川原平×鹿島茂という豪華対談のネタにもされています(後藤さんにとっては「トホホ」な言われようなのですが)。このような、いろいろな後藤評を自ら収集、紹介するのはある意味新しい(?)かもしれません。
そのほかにも、夜の渋谷でNHK職員として想定外の大活躍とか、「やっぱり後藤さん!」というエピソードの数々が披露され、思わず笑ってしまいます(外では読めないな)。

思いのほか参考になるのは、引用したり参考資料として紹介されている、先生方の著作についての情報です。食べる人ではなく、作る人の言葉はたいへん興味深いです。いくつかはぜひ手元に置きたいと思いました。

こうして積読ばかりでなくお買いものリストもぐんぐん伸びていくのであります。トホホ。

「きょうの料理」のヒミツ

後藤 繁榮 / 平凡社


by takibi-library | 2009-02-11 20:37 | いつも読書 | Comments(0)  

「三崎日和」:おいしい海の魚が手に入れば、松本は無敵だと思う。

「いしいしんじのごはん日記」の第2弾です。この日記の頃のいしいさんは、三崎と、ときどき松本で暮らしています。

松本ではサイトウ・キネン・フェスティバル(!)のコーラス隊に入ったり、“オッシャレー”なパン屋さんで買い物をしたり(心当たりあり)、浅間温泉に行ったり、草間彌生の常設展を見たりします。それだけでもじゅうぶんキラキラなのですが、三崎在住でもあるいしいさんは、なじみの魚屋さんから松本へおいしい魚を送ってもらっています。それがとどめです。
かねてから、松本は住んでもいいかもしれないと思っている私ですが、唯一、魚が手に入りにくそうなイメージがマイナスポイントでした。この日記には、松本でおいしい魚を食べて暮らしている様子が描かれているので、「そりゃサイコーじゃん」とこちらまで浮かれてしまいます。

この日記がたいへんおもしろいので、土曜日に行った往来堂書店でいしいさんの長編小説を1冊買いました。日記の頃に書かれた作品ではないのですが(日記には創作の過程も少し書かれていて興味深いです)、Mさんの推薦なのでとても楽しみです。

三崎日和―いしいしんじのごはん日記〈2〉 (新潮文庫)

いしい しんじ / 新潮社


by takibi-library | 2009-01-26 09:10 | いつも読書 | Comments(0)  

「いしいしんじのごはん日記」読了

年末に往来堂書店のMさんにすすめられた本です。

いしいしんじさんの本ははじめて読みます。いしいさんにはなんとなく“いまどき”なイメージを持っていて、ちょっと手を出す勇気がありませんでした。こういう作家さんの作品は、たしかな筋からのおすすめをきっかけにするのが、私にとってのいい出会い方です。

そんなわけで、年明けから読みはじめました。
気軽に読めそうと思っていたのですが、たしかに難しい話じゃないのですが、読み応えがあります。この読みやすくて、でもぐっときたり、ずしっときたりというのは、不思議な感覚です。
繰り返しになりますが、その日のできごとと晩ごはんの献立だけを綴った日記なのに、しばらく読んで本を閉じると、ちゃんと「読んだー」という満足感があります。これは、なぜ?なぜ?個人的には、池波正太郎の食事のことを綴った本よりおもしろいと思いました。

ところで、途中からいしいさんは三浦半島の三崎へ引っ越します。三崎と言えば京浜急行の終点。大学時代、“三崎口行き”の特急や快速特急によく乗っていたので、地名や電車の名前で
ちょっとうきうきします。
三崎での(食)生活は、うらやましいくらいの魚天国です。聞いたことのない、そしてすばらしくおいしい魚がいろいろ出てきます。あぁ、食べてみたい。

この本には続編があって、それもちゃんと買ってあります。しばらくはいしいさんと三崎に夢中の日々が続きます。

いしいしんじのごはん日記 (新潮文庫)

いしい しんじ / 新潮社


by takibi-library | 2009-01-14 21:18 | いつも読書 | Comments(0)  

「街に顔があった頃」読了

吉行淳之介の小説はあまりピンとこないのですが、エッセイや対談はおもしろくて好きです。
開高健の小説は「○○の闇」というベトナムものの3冊、とくに「花終わる闇」が好きで、エッセイはあまり読んでいません。

ほぼ全編が猥談なので(もともとそういう主旨)、細かい内容には触れませんが、圧倒されるのは二人の博識ぶりとセンスのよさ、あらゆる方面での経験の豊かさです。大人だなぁ、と思います。大人は子どもの想像上にしか存在しないとしたら、私はよろこんで子どもでい続けたいと思うくらいの、最強の大人です。

大人同士の席にご相伴させてもらって、ふだんよりいい料理にもありついて、大人の会話を、ときどきわからなくなりながら聞くのは、子どもにとって何よりの楽しみ、冒険です。聞き逃すまい、食べ逃すまいと忙しくもあるのですが、楽しいものだからときどきうっとりしてしまって、気がつくとぽぅとしていたりもします。

子どもは楽しい。でも、もうちょっとしたら、子どもがわくわくするようなおしゃべりを繰り広げられる大人になっていたいと思います。
そのための参考書として二人の対談集は、これから入手したいです。むしろ大人になる気、なくすかもしれないけど。

街に顔があった頃―浅草・銀座・新宿 (新潮文庫)

吉行 淳之介 / 新潮社


by takibi-library | 2008-12-27 10:56 | いつも読書 | Comments(0)